「中央線文化」の中心として、演劇・映像・音楽などに携わる文化人たちが集う吉祥寺。
彼らはバーで酒を飲み、カフェで珈琲とカレーをいただきながら親交を深め、議論を重ねてきました。
そんな吉祥寺カフェカレーを代表する3店といえば、「まめ蔵」「武蔵野文庫」そしてここ。

「くぐつ草」
創業は1979年。
ポップな感覚のある「まめ蔵」、文学の香りがする「武蔵野文庫」と比べここはよりアングラで前衛的、ポストモダン的。

実際にお店はアンダーグラウンド(地下)にありますし。

細く深い階段を降り、東欧のSFに出てきそうな扉をくぐると・・・・

目が覚めるような立派な空間へと出ます。
まるで芸術家たちの地下シェルター。レジスタンスの本部。
実はこの「くぐつ草」、寛永12年(1635年)に旗揚げした、日本唯一の江戸糸操り人形劇団「結城座」が運営する喫茶店。
「結城座」は江戸幕府公認の五座で唯一現存する座にして、現在 『国記録選択無形民俗文化財』『東京都の無形文化財』に指定されている由緒ある劇団で、店員さんは結城座の団員さん、収益は結城座の運営に充てられていると聞いたことがあります。

ページが肉厚な木でできたメニューも昔と変わらず。
名物の「くぐつ草カレー」は2020年現在、単品で1250円。
ですがここは喫茶店としても秀逸。珈琲も絶対飲むべきなので、セットでオーダーをお勧めします。

★くぐつ草カレーセット ¥1750
創業当時から製法を変えていないカレー。
ライスの上のレーズンの配置も、サラダに乗った3つのカタチのパスタも、鳥の姿にカッティングされた人参も、昔から変わっていませんね。
時が止まったような贅沢さ。けれど、流れる時の中にいるのは自分自身です。
8年前には手のかかったカレーだなあ、なんて具合にしか思っていなかったのですが、今回は「おっ」という驚きがあった。
変わったのは自分です。

・・・・こんなにホールスパイス入ってたっけか。
潰さず粒のままのコリアンダーシードがビックリするほどたくさん。
10 種のスパイスを炒って香りを出してから麻袋に入れ、煮込むのだそうです。
とろみある「欧風カレー」ながら、そのとろみは玉ねぎ由来。
玉ねぎのしっかりした甘みとスパイスのザクザク感、レーズンの食感、その対比が密やかな個性を醸し出しているのですね。

コーヒーは深煎りを選択。
この店の深煎りは本当に美味しい。とても好み。アロマが濃い。
お店の独特な雰囲気がまたその美味さを引き立てます。
今回初挑戦だったのはこちら。前から食べたかったんです。

★レアチーズケーキ ¥700
ブルンとババロアのような食感に濃厚な酸味。
こちらも大変に好みの味ですよ。もう、また食べたい。
他のテーブルから漏れ聞こえる会話は、演出論やら、セリフの手直しやら。
これこそ吉祥寺。これこそ「くぐつ草」。
レトロという言葉では片付けられない、洒落た文化の薫りがここにはあります。
吉祥寺が誇る文化遺産ですね。
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