日本独自のカレー文化の結晶とも言える「カツカレー」もまた然り。
カツカレーの発祥として広く知られているのは「銀座スイス」。
1948年に、当時巨人軍の千葉茂氏のアイデアによってカツカレーが誕生したとなっています。
実際、カレーライスの上にカツを乗せたものを「カツカレー」と名付け提供した最初であり、
「カツカレーの元祖」であることに間違いはありません。
けれど実は、さらに30年も遡った1918年(大正7年)に、
カレーとトンカツを合わせて提供していたお店が浅草にあったのです。
そのお店の名は「河金」。
どんぶりのご飯にキャベツを敷き、その上にトンカツを乗せ、さらにカレーをかけたオリジナルメニューが「河金丼」。
ご飯、トンカツ、カレー、そしてキャベツという組み合わせの提供という意味では、記録にある限りこの店が最も古く、
いわば「日本最古のカツカレー」とでも呼ぶべき存在であります。
ただ残念なことに、初代「河金」の店舗はすでにありません。
ただし、「河金」ののれんを受け継いでいる店が「入谷」と「千束」に現存しており、今も「河金丼」を提供しているのです。
さて今回は、入谷の「河金」に訪問してみました。

「とんかつ河金」
路地裏の、鄙びた雰囲気。
ここが日本最古のカツカレーを提供するお店だとは、知らなきゃ絶対気づかないでしょう。

入り口脇のポストには「河野」という表記。
そう、このお店は浅草「河金」創業者河野金太郎さんのお孫さんが支店としてのれんを受け継いだお店なんです。

店内はさらに鄙びた雰囲気。
昭和そのまんまの大衆食堂といった感じ。

★河金丼 ¥750
やってきました。
これが「日本最古のカツカレー」。
シンプルな見た目だけに、オリジナルを守り通す歴史を感じます。
・・・しかし、お世辞にもSNS映えはしませんね。

いただいてみましょう。
箸からこぼれ落ちないほどの粘度あるカレー、シンプルなカツ、脂を受け止めるキャベツ。
どれもが、イメージを裏切らない味わい。
言い換えれば、ある意味「普通」。
しかし、よく考えてみれば、カツとご飯とカレー、当初は真新しかったであろう組み合わせが、今は普通と思えるほど広く普及しているということ。
トンカツもカレーも、そしてカツカレーも、もはや大衆和食にまで昇華していることの証左です。
感慨深いですね。
スタンダードでオーダーすれば、量は控えめ。
腹具合などあまり気にせず食べに来れますよ。
(備考:今年11月大阪心斎橋に「大衆洋食 河金三代目」というお店がオープンしましたが、こちらは老舗によくある複雑な事情がありそう。ひとまず様子見です。)
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