
綺麗な蝶ですね。
クリーム色と黒の模様が繊細で、鮮やかな赤い点々が映えています。
・・・でも、こんな蝶、いましたっけ?
・・・図鑑には載ってないですよね。
・・・実はこの蝶、90年代に突如として関東地方に現れたものなんです。

アカボシゴマダラ
学名:Hestina assimilis
開張幅:7~9cm
原産地:ベトナム北部、中国、朝鮮半島、台湾、奄美群島
東アジア広域に分布するゴマダラチョウの仲間。
その名の通り、後翅の外縁に入る赤い斑紋が特徴です。
ゴマダラチョウの仲間と近縁な蝶としては有名なオオムラサキもいます。
中国や朝鮮ではポピュラーな蝶ですが、
奄美諸島と台湾に生息するものは班の入り方が異なり、
それぞれ別亜種として分類されています。
それぞれの学名は、
大陸個体群= Hestina assimilis assimilis
奄美諸島個体群= Hestina assimilis shirakii
台湾個体群= Hestina assimilis formosa
となっています。
ところがこの蝶、1995年埼玉県秋ヶ瀬公園などで突如発見され、
その後少し間をおいて
1998年今度は神奈川県藤沢で発見されると、
瞬く間に神奈川県全域で見られるようになったのです。
その後もアカボシゴマダラは分布を広げ、
最近では都内の公園でも見かける機会が増えてきたようです。
この石神井公園のように。
日本では奄美諸島にしか生息していない蝶が関東に現れるなんて温暖化の影響?
と思ってしまうかもしれませんが、実はそうではないようです。
関東で分布を拡げるこのアカボシゴマダラ、
実は奄美諸島の亜種ではなく大陸産の亜種のほう。
つまり今まで日本にいなかった「外来種」ということになります。

推測の域を出ないですが、虫マニアが人為的に「放虫」した可能性が最も高いとのこと。
いわゆる「ゲリラ放虫」です。
このことをどう捉えたらよいのでしょう?
「綺麗な虫だからいいじゃない。」
という声も聞こえてきそうです。
しかし、今までいなかった場所に10年足らずの間でこれほど増えてきた事実は、
いかにこの蝶が従来の生態系を変化させてきたかを示しています。
最も心配されるのが、在来の赤班のない「ゴマダラチョウ」の減少。
餌も生態も同じですので、交雑による遺伝子攪乱も懸念されます。
まだブルーギルやミシシッピーアカミミガメ(ミドリガメ)ほどは定着していないものの、
5年後、10年後には果たしてどうなっているのでしょうか?
アカボシゴマダラが日本の昆虫図鑑に乗る日は、そう遠くないように思えます。
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