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カレーファン訪問必須!!明治5年・日本最古のカレーレシピが新宿で限定復活!!「新宿中村屋Manna」(新宿/新宿三丁目)
category - [新宿エリア]
2015/
11/
10今や、世界に誇るジャパニーズフードの代表であるカレーですが、
最初はインドからではなく、英国から「西洋料理」として入ってきたんです。
現存する、日本最古のカレーレシピは今から143年前、1872年(明治5年)のもの。
同じ年に刊行された2つの書物に「カレー」が登場するんです。
一つめの書物は『西洋料理指南』(敬学堂主人)。当時の高級官僚が匿名で著したものだそう。
そこで記されたカレーのレシピは以下の通り。
「葱一茎 生姜 半箇蒜 少許ヲ細末ニシテ牛酪 大一匙ヲ以テ煎リ水一合五タヲ加へ鶏 海老、鯛、蠣、赤蛙等ノモノヲ入テ能 ク煮後「カレー」ノ粉一匙ヲ入煮ル1西洋一字間已ニ熟シタルトキ塩ニ加へ又小麦粉 大匙二ッ水ニテ解キテ入ルベシ」
・・・なんと、アカガエルの肉を用いているんですね!
そして、もう一冊は『西洋料理通』(仮名垣魯文)。
こちらは横浜に来た英国人が、雇い人に西洋料理を作らせるための手控え帳を種本にして、
新聞記者であり戯作者でもあった仮名垣魯文が書いたものとされてます。
カレーのレシピは、
「冷残の子牛の肉或いは鳥の冷残肉いずれも両種の中有合物にてよろし 葱四本刻み林檎四個皮を剥き去り刻みて食匙にカリーの粉一杯シトルトスプウン匙に小麦の粉一杯 水或いは第三等の白汁いずれにても其の中へ投下煮る事四時間半 その後に柚子の露を投混て炊きたる米を皿の四辺にぐるりと円く輪になる様もるべし。」
近代化という名の欧米化が進んでいた当時の日本、2つの本のレシピに共通する点は、まず小麦粉とカレー粉を用いていること。
ここでいう「カレー粉」とは世界で初めてカレー粉を開発した英国C&B社のものでしょうか。
また、小麦粉でとろみをつける、日本カレーの伝統はもうここからはじまっていたことがわかります。
そしてもう一つ、面白いのはタマネギではなく長ネギを用いているところ。
実はタマネギが日本で初めて食用として栽培されたのは明治4年のことですから、まだ一般的な食材ではなかったのでしょう。
同様にまだ貴重だったジャガイモ、人参も用いられていません。
・・・と、なぜこんな「日本カレーはじめてものがたり」をしたかといえば、
実は今、「新宿中村屋」のビル改装一周年記念として、日本最古のカレーレシピの一つ「西洋料理通」のカレーが再現・提供されているんです。
さらっと言いましたが、大事なことなのでもう一度言います。
「今、新宿中村屋で、日本最古のカレーが再現・提供されているんです。」
提供は2015年10月29日~11月末まで、一日限定20食。
これは体験しとかなきゃ、後々後悔しますよ!!
143年前のカレーを提供するのは、「新宿中村屋」ビル地下二階。
「新宿中村屋Manna」
そもそもこの「新宿中村屋」、昭和2年(1927)に日本で初めてレストランで「純インド式カリー」を提供した、日本カレー史に燦然と輝く名店。
(その辺りの深いエピソードはこちらの記事を参照→「日本インドカリー、激動のルーツ。」)
ビル改装後新たにオープンしたこの「新宿中村屋Manna」は中村屋伝統の「純インド式カリー」を提供するレストランですから、「日本最古のカレー」を提供するのに、これほど説得力のある場所もないでしょう。
一日限定20食ということで入店時に「143年前のカレーまだありますか?」と訊いてしまったのですが、店員さんが若干戸惑われていました・・・・そりゃそうでしょう(笑)

「一周年記念メニューまだありますか?」と訊くのが間違いないです。

★西洋料理通からの再現ビーフカレーと純インド式カリー食べ比べセット ¥2500(税別)
カレーとしては少々値が張りますが、日本カレー史を辿れる貴重な一食ですから。
こちらが「西洋料理通からの再現ビーフカレー」。
インド式カリーと比べると黄色みが少なく、くすんだ色合いです。

具材は牛肉を使用。

ライスにかけてみると、タマネギのかわりに長ネギを用いているのがよくわかりますね。
食感としてはタマネギより劣るかもしれませんが、これはこれで面白い味わいです。
といいますか、
なんかこのカレー、好みかも。
小麦粉を用いているとはいえ、割にサラサラしているし、ジャガイモ・人参が入っていない分、よく言えば軽やかな味わいです。
日本の「カレーライス」「インドカレー」「欧風カレー」のいずれにも分化していない、シンプルな美味さといいましょうか。
もちろん、ただ再現しているだけじゃなく、「中村屋」の技術でちゃんと美味くしてくれているんでしょう。
特に牛肉の美味さは反則級、これはもう薄切りステーキじゃないですか!!!

対してこちらが中村屋伝統の「純インド式カリー」。
日本のインドカレーの歴史がここから始まった、これまた歴史的一品です。
このカレーが創造されたのは昭和2年。
明治時代にはまだ普及していなかったタマネギやジャガイモがたっぷり用いられている分、
「インド式」とはいえ、こちらの方が親しみある味わいなのは面白いところですね。
当時(昭和2年前後)の東京では、小麦粉をたくさん使い、ただ辛いだけのカレーが提供されており、
本物のインドカレーを日本に紹介するため「中村屋」がこの「純インド式カリー」を始めたとのこと。
しかし明治5年「西洋料理通」のカレーは(この味わいが当時のものという前提で言うならば)、
特に小麦粉でもったりもしておらず、さほど辛くもない。
となれば、この両者の間に、日本カレーが小麦粉を多く使い、辛くなっていった過程があるということでしょう。
多分それは英国海軍を規範にし、帝国海軍が導入したいわゆる「海軍カレー」が発端ではないでしょうか。
艦内食としてのカレーライス普及のきっかけとなった「海軍割烹術参考書」が発行されたのが1908年(明治41年)。
揺れる船内でもこぼれないよう、小麦粉によるとろみを強くしたこのカレーが、今の日本カレーライスの直接のルーツなのだと思います。

英国から日本に初めてカレーがやってきた明治5年と、
インドから本場のカレーがやってきた昭和2年を合いがけする贅沢。
こんな機会、そうそうあるものじゃありません。

付け合わせには、日本のらっきょ、インドのアチャール&ピクル、そして西洋の粉チーズ。
日本・ヨーロッパ・インドという3つの食文化がハイブリッドしてきた、今の日本カレー文化をよくあらわしていますね。
一食で、日本のカレー史を辿る旅。
やっぱり日本のカレーは面白い。
「西洋料理通からの再現ビーフカレー」の提供は2015年11月末まで、一日限定20食です。
またとない機会、食いっぱぐれのないようチェックしてくださいね。
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最初はインドからではなく、英国から「西洋料理」として入ってきたんです。
現存する、日本最古のカレーレシピは今から143年前、1872年(明治5年)のもの。
同じ年に刊行された2つの書物に「カレー」が登場するんです。
一つめの書物は『西洋料理指南』(敬学堂主人)。当時の高級官僚が匿名で著したものだそう。
そこで記されたカレーのレシピは以下の通り。
「葱一茎 生姜 半箇蒜 少許ヲ細末ニシテ牛酪 大一匙ヲ以テ煎リ水一合五タヲ加へ鶏 海老、鯛、蠣、赤蛙等ノモノヲ入テ能 ク煮後「カレー」ノ粉一匙ヲ入煮ル1西洋一字間已ニ熟シタルトキ塩ニ加へ又小麦粉 大匙二ッ水ニテ解キテ入ルベシ」
・・・なんと、アカガエルの肉を用いているんですね!
そして、もう一冊は『西洋料理通』(仮名垣魯文)。
こちらは横浜に来た英国人が、雇い人に西洋料理を作らせるための手控え帳を種本にして、
新聞記者であり戯作者でもあった仮名垣魯文が書いたものとされてます。
カレーのレシピは、
「冷残の子牛の肉或いは鳥の冷残肉いずれも両種の中有合物にてよろし 葱四本刻み林檎四個皮を剥き去り刻みて食匙にカリーの粉一杯シトルトスプウン匙に小麦の粉一杯 水或いは第三等の白汁いずれにても其の中へ投下煮る事四時間半 その後に柚子の露を投混て炊きたる米を皿の四辺にぐるりと円く輪になる様もるべし。」
近代化という名の欧米化が進んでいた当時の日本、2つの本のレシピに共通する点は、まず小麦粉とカレー粉を用いていること。
ここでいう「カレー粉」とは世界で初めてカレー粉を開発した英国C&B社のものでしょうか。
また、小麦粉でとろみをつける、日本カレーの伝統はもうここからはじまっていたことがわかります。
そしてもう一つ、面白いのはタマネギではなく長ネギを用いているところ。
実はタマネギが日本で初めて食用として栽培されたのは明治4年のことですから、まだ一般的な食材ではなかったのでしょう。
同様にまだ貴重だったジャガイモ、人参も用いられていません。
・・・と、なぜこんな「日本カレーはじめてものがたり」をしたかといえば、
実は今、「新宿中村屋」のビル改装一周年記念として、日本最古のカレーレシピの一つ「西洋料理通」のカレーが再現・提供されているんです。
さらっと言いましたが、大事なことなのでもう一度言います。
「今、新宿中村屋で、日本最古のカレーが再現・提供されているんです。」
提供は2015年10月29日~11月末まで、一日限定20食。
これは体験しとかなきゃ、後々後悔しますよ!!


143年前のカレーを提供するのは、「新宿中村屋」ビル地下二階。
「新宿中村屋Manna」

そもそもこの「新宿中村屋」、昭和2年(1927)に日本で初めてレストランで「純インド式カリー」を提供した、日本カレー史に燦然と輝く名店。
(その辺りの深いエピソードはこちらの記事を参照→「日本インドカリー、激動のルーツ。」)
ビル改装後新たにオープンしたこの「新宿中村屋Manna」は中村屋伝統の「純インド式カリー」を提供するレストランですから、「日本最古のカレー」を提供するのに、これほど説得力のある場所もないでしょう。
一日限定20食ということで入店時に「143年前のカレーまだありますか?」と訊いてしまったのですが、店員さんが若干戸惑われていました・・・・そりゃそうでしょう(笑)

「一周年記念メニューまだありますか?」と訊くのが間違いないです。

★西洋料理通からの再現ビーフカレーと純インド式カリー食べ比べセット ¥2500(税別)
カレーとしては少々値が張りますが、日本カレー史を辿れる貴重な一食ですから。

こちらが「西洋料理通からの再現ビーフカレー」。
インド式カリーと比べると黄色みが少なく、くすんだ色合いです。

具材は牛肉を使用。

ライスにかけてみると、タマネギのかわりに長ネギを用いているのがよくわかりますね。
食感としてはタマネギより劣るかもしれませんが、これはこれで面白い味わいです。
といいますか、
なんかこのカレー、好みかも。
小麦粉を用いているとはいえ、割にサラサラしているし、ジャガイモ・人参が入っていない分、よく言えば軽やかな味わいです。
日本の「カレーライス」「インドカレー」「欧風カレー」のいずれにも分化していない、シンプルな美味さといいましょうか。
もちろん、ただ再現しているだけじゃなく、「中村屋」の技術でちゃんと美味くしてくれているんでしょう。
特に牛肉の美味さは反則級、これはもう薄切りステーキじゃないですか!!!

対してこちらが中村屋伝統の「純インド式カリー」。
日本のインドカレーの歴史がここから始まった、これまた歴史的一品です。
このカレーが創造されたのは昭和2年。
明治時代にはまだ普及していなかったタマネギやジャガイモがたっぷり用いられている分、
「インド式」とはいえ、こちらの方が親しみある味わいなのは面白いところですね。
当時(昭和2年前後)の東京では、小麦粉をたくさん使い、ただ辛いだけのカレーが提供されており、
本物のインドカレーを日本に紹介するため「中村屋」がこの「純インド式カリー」を始めたとのこと。
しかし明治5年「西洋料理通」のカレーは(この味わいが当時のものという前提で言うならば)、
特に小麦粉でもったりもしておらず、さほど辛くもない。
となれば、この両者の間に、日本カレーが小麦粉を多く使い、辛くなっていった過程があるということでしょう。
多分それは英国海軍を規範にし、帝国海軍が導入したいわゆる「海軍カレー」が発端ではないでしょうか。
艦内食としてのカレーライス普及のきっかけとなった「海軍割烹術参考書」が発行されたのが1908年(明治41年)。
揺れる船内でもこぼれないよう、小麦粉によるとろみを強くしたこのカレーが、今の日本カレーライスの直接のルーツなのだと思います。

英国から日本に初めてカレーがやってきた明治5年と、
インドから本場のカレーがやってきた昭和2年を合いがけする贅沢。
こんな機会、そうそうあるものじゃありません。

付け合わせには、日本のらっきょ、インドのアチャール&ピクル、そして西洋の粉チーズ。
日本・ヨーロッパ・インドという3つの食文化がハイブリッドしてきた、今の日本カレー文化をよくあらわしていますね。
一食で、日本のカレー史を辿る旅。
やっぱり日本のカレーは面白い。
「西洋料理通からの再現ビーフカレー」の提供は2015年11月末まで、一日限定20食です。
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