相反する価値を並列することで、商品を否定できないほど素晴らしく見せる・・・ってのは広告の常套手段でありますが、
実際には世の中そんなに甘いものじゃありません。
ことカレーにおいては、「優しい味」はときにポヤッとしがちで、「激しい味」はときに過剰になりがち。
「丁度良い味」はときに没個性へとつながりかねず・・・
大体においては、「どっちを選ぶか」という言葉に尽きてしまうわけです。
ただ、このお店を除いては。

「カラピンチャ」
近年、関西を席巻するスリランカムーブメントにおける若きエース。
店主の濱田さんはスリランカ現地でひたすらココナッツを割るところから修業、
「未来のスリランカカレー店 カラピンチャ」を名乗りながら開業を模索。
そののち水道橋商店街でのランチ間借り営業を経て、2013年12月に晴れて「カラピンチャ」実店舗を開業しました。
★水道筋間借りランチ時代の記事
『関西スリラン化計画 -その4-「カラピンチャ」・・・素晴らしきコミュニティの輪。』
★現店舗開店時の記事
『祝・実店舗始動!神戸スリランカの星。「カラピンチャ」 -2- 』

優しく、朗らかな濱田さんご夫妻の雰囲気そのままに、優しく、朗らかな店内。

とってもスリランカ現地風でありながら、とっても日本的な和やかさを感じさせます。
こんな素敵なお店で、こんなお二人が作る料理は、さぞかし穏やかで、優しいものなのだろう、と。
実際、その予測は当たり、でありつつも、予定調和を拒絶する心地よさによって、
当たりと言い切れない何かへと変わるのです。

★本日のカレープレート(チキン) ¥1000
・レンズ豆のカレー
・チキンカレー
・水菜とみつばの和え物
・ココナッツのふりかけ
・ビーツの煮物
・揚げせんべい(豆)
・ヤシの花蜜がけヨーグルト
初心者でもわかりやすい料理表記が濱田さんの人柄を良く表しています。
スリランカ料理マニアだけでなく、地元の家族がふらっと来ても、戸惑わず楽しめる気軽さ。
外国料理店ではなく、ニッポンのカレー屋さんのスタンスです。
それでいて、百戦錬磨のマニアに対しても、決して妥協を見せない料理の内容が見事。
この日は、よく見てください。
ライスもスリランカの小粒なサンバライスなんです。

こちらはチキンカレー(ククルマス)。
ココナッツミルクを引き算したシャープな仕上がりが見事。
もちろん、というか、全てをしっかりと混ぜ込み手食するのですが・・・

見てください、この鮮やかな美しさ!!!
大体において食べ物というのは、いろいろ混ぜると品がなく見える(少なくとも日本人にとって)ものですが、
「カラピンチャ」のプレートは違います。
混ぜれば混ぜるほど美しくなる!素晴らしき色彩マジック。
しかも、食べて驚くのは、「からだよろこぶ」という恥ずかしい表現をせざるを得ないほど、するすると体内に入っていく感覚。
ただ優しいだけでなく、しっかりとしたメリハリの中、スパイス料理を食べてるぞ、刺激的だぞと感じながらも、頑張っている感覚、戦っている感覚が全くないまま、得も言われぬ満足感に浸っていくことができます。
「激しく、そして優しく」「刺激的に、自然体で」「鮮やかに、穏やかに」
相反する感覚が違和感なく共存する、独自の世界。
例えるならば、無駄な力を一切使わない、太極拳のような料理です。

食べた後、満足感はあるのに、身体は重くならず、逆に軽くなるのが「カラピンチャ」のマジック。

デザートに、

紅茶。
この日はいただかなかったものの、アーッパもお勧め。
最もスリランカ現地の風を感じるお店なのに、最も日本的な温かさを感じる不思議なお店。
それはきっとこの店が本当に、スリランカと日本という二つの文化を、
一皿の上で綺麗に混ぜ合わせることに成功しているからなのだ・・・そう思うのです。
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