時は昭和30年代。
元々はステーキハウスだったこのお店、ある時訪れたスリランカ人に「スパイスを提供するからカレーを出してくれ」と持ち掛けられランチでカレーを出したところ、これが大評判に。
「セイロン風カリー」と名付けられたこのカレーはシャバシャバスパイシーでありながら、スリランカ現地とは異なりブイヨンを用いた独特なカレーであり、さらになんと、イカの塩辛をはじめとした薬味を混ぜながらいただくという、ほかに類を見ないものだったそうです。
多くのカレーファンに衝撃を与えたこのセイロン風カリー、「オリムピック」閉店後は、弟子たちが営む南森町「グリルケント」、大江橋「ステーキ榊原」、夙川「ステーキハウス たけうち」へと継承。
しかし「グリルケント」「タケウチ」はすでに閉店、現在は「榊原」の水曜限定ランチとして提供されるのみとなりました。
一方東京ではオリムピックの流れを組む店が赤坂にあったようですがすでに閉店。
本郷の喫茶店「ルオー」で提供される「セイロン風カリー」がその流れを汲んでいるそうですが、こちらはあくまでもワンプレートで提供されるカレーライススタイル。
かつて大阪のカレーファンに衝撃を与えた、「イカの塩辛とともにいただくセイロン風カリー」とは、一体どのようなものなのか・・・
2014年5月東京・立川。
ここに一軒のカレー屋が誕生しました。

「セイロン風カリー シギリヤ」
そう、ここはスリランカ料理屋ではありません。
なんとあの、「オリムピック」伝統の「セイロン風カリー」のお店なのです!

店主の竹内さんは、上述の夙川「ステーキハウス たけうち」オーナーの息子さん。
東京で脱サラし、閉店した父親の店のカレーを受け継ぐ形でカレー屋を開業したとのこと。
まさに伝統を受け継ぐ「オリムピック第三世代」の店というわけですね!!

カレーの基本は、野菜とチキン、そして月替わりカリー。
その他、つまみ系の一品料理も揃っています。

そして、ありました!
イカの塩辛!!
それだけでなく、薬味7種セット¥100なんてのもあります。
こりゃあ頼むしかありませんね。

まず最初に出てきたのがサラダ。
シンプルに見えてこれが美味かった。
ドレッシングが大好きな「三田屋本店」のそれに似ているのです。

★チキンカリー ¥1180
これが伝説の「セイロン風カリー」!!
中村屋のカレーを越えてシャバシャバなルゥは、小麦粉を使わず、タマネギ、ニンニク、生姜、リンゴを煮込み、ブイヨンとスパイスで仕上げたもの。
実際いただいてみると見た目よりもしっかりとした辛さで、しかしスルスルっと食べやすい。
チキンは骨付きでまるまる二本、そして確かにブイヨンの旨みを感じます。
なるほど、セイロンといいつつも、洋食の技法をうまく用いた美味しいカレーですね。
ちなみにカレー自体の塩気は幾分控えめ。
理由は・・・そう、もちろんこれを用いるからなんですよね。

★薬味7種セット ¥100
いやぁ!凄い!!正直驚きました!!
巨大な器に美しく盛られた薬味たち!!!
たった100円でここまで豪華とは!!!
聞けばこの物凄い器、閉店した「ステーキハウス たけうち」から引き継いだものだそうで、
つまり30年以上もの間、セイロン風カリーを支え続けた伝統の薬味皿とのこと。
薬味7種の内訳は・・・
イカの塩辛
ザーサイ
紅ショウガ
らっきょ
福神漬け
シソの実漬け
マンゴアチャール
普段はここにサーモンマリネが入るところ、この日は切らしており、かわりにインドのマンゴアチャールが。
個人的にはウェルカムですよ。

さてさて、このイカの塩辛がカレーにどのような効果をもたらすのか・・・早速試してみましょう!!!

まずはお皿の周囲に薬味を並べてみました。(らっきょだけ配置忘れ)
そして徐々に、カレーに混ぜてゆきます・・・・
最初はやはり、イカの塩辛を・・・・
お、これはかなり新鮮な驚きです!!
イカの塩辛、その強い塩っ気がカレーに加わることで、逆にカレーの甘みやコクが引き立つ不思議。
なるほど、スイカやトマトに塩を振りかけるのと同じ道理なのですね。
しかし、驚きはそれだけではありません。
ザーサイ、これがまたカレーに合う合う!!
あ、そういえば塚口のビーフカレー店「アングル」でもカレーにザーサイを合わせていたけれど、
「タケウチ」との場所の近さを考えればルーツは同じなのかもしれないなぁ。
さらに強烈な酸っぱさのマンゴアチャールに、紫蘇の実漬け・・・
カレーにどんどん具材を投入して、どんどん混ぜながらいただけば、味にどんどん立体感が出てきて美味いこと!
ここで大きなことに気が付きました。
スリランカではカレーとご飯に加えて、いろんなおかずをワンプレートで盛り付け、どんどん混ぜながらいただくのが基本のスタイル。
この「セイロン風カリー」は、ルゥにはブイヨンを使い、薬味は和洋中MIXでありつつも、それらを混ぜながら味の変化を楽しむという点においてまさに「スリランカ風」。
なるほど膝ポン!なカレー体験だったわけです。
ここでカレーをもう一品。

★夏野菜カリー(8月 月替わりカリー) ¥1180
小ナス、オクラ、コーン、枝豆、モロヘイヤ、プチトマトが入ったオリジナリティ溢れる仕様。
カレーのベースはチキンと同じだそうですが、具材の違いで辛さがよりシャープに感じます。

混ぜて楽しむのが基本のカレーだけに、どんな食材がやってきても美味しくいただけますね。
50年以上も受け継がれてきた伝統の強さを垣間見た気がしました。

こちらは試作のポルサンボル、カツオとココナッツで作ったスリランカのふりかけのようなもの。
「セイロンを名乗るからには」と鋭意開発中だそうですが、これがまた一枚加わることで、カレーの魅力がさらに増しそうな予感です。

★ホットコーヒー(グアテマラ)¥300
カレーの後は、やはりコーヒー。
豆が選べたのですが、苦みの強いグアテマラをチョイス。
そして、さらに新メニューのこちらもいただいてみました。

★アフォガート ¥400
開店祝いにいただいたというネスプレッソを用い、バニラアイスにかけながらいただく一品。
これまたカレーの後に、しかも暑い日にはたまらない美味さですね~!!!
是非みなさんも注文してみてください。
「伝説の店のカレーを継承」というネタ性を越え、期待以上に個性的で面白いお店。
カレーだけでなく、店主竹内さんとの映画談議(得意ジャンルはSF・ホラーだそう)も楽しみの一つです。
駅からちょっと離れているため、食べログ検索では一発で出てこない(食べログのデフォルトは駅800m圏内)ハンデもあるのですが、世のカレーマニアの皆様には是非、足を運んでいただきたいお店なのでした。
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