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え?バナナが絶滅の危機に? ~欧米侵略主義と、多様性の喪失による大いなる危機。
category - 植物
2014/
05/
24世界中のスーパーマーケットに並び、世界中の人々が食べているバナナ。
人々の暮らしの中で当たり前のように存在しているこのバナナが今、絶滅の危機に瀕していることをご存じだろうか。

アジアの熱帯各地で7000年以上前の新石器時代から栽培され、貴重な食物として品種改良されそれぞれの土地に根付いてきたバナナ。
ニューギニアの神話には、死してその頭からバナナの木が生えたとされる神「バナナデマ」が登場するし、
インドやフィリピンなどの料理では青いバナナや花を野菜として用いるものもある。
そもそもバナナという名前の語源はアラビア語であり、そのことからもかなり古い時代から、アラビアにまでバナナ文化が広がっていたことが伺える。
(コーランに出てくる楽園の禁断の果実「talh」の正体もバナナと考えられているそうだ。)
・・・世界のバランスを、修復不能で不可逆な流れへと追い込んでいくのはいつも白人だ。
19世紀、フランスの博物学者ニコラ・ボーダンがバナナをカリブ海・マルティニーク島に持ち込み、栽培を始めた。
これがグロスミッチェル種と名づけられたバナナであり、その栽培は中南米一帯へと拡大。
やがてロレンツォ・ベイカーという船乗りがこの中南米のバナナをアメリカに持ち込んだことで、大儲け。
その後継者は中南米のバナナ・プランテーションを傘下に収め、新たな農場を開いて1899年にユナイテッド・フルーツ社を設立。
これが今でも有名な「チキータ」のオリジンである。
ユナイテッド・フルーツ社は中南米で大きな勢力となり、現地の政治経済にも大きな影響を及ぼすことになる。
自らの権益を守るため、ストライキの武力制圧や虐殺、米軍の侵攻やCIAによるグアテマラ政権転覆まで画策したという話があるほどだ。
・・・伝統的な文化に浅く、資本主義による自由と成功が神話のように盲信されているアメリカという国は時に、その未熟な暴力思考と振り上げた拳の硬さで、世界の多種多様な文化を叩き潰してゆく。
世界のバナナ市場をリードしていたユナイテッド・フルーツ社とそのバナナ、グロスミッチェル種であるが・・・
1920年代から状況は思わぬ展開を迎える。
バナナを立ち枯れにする「パナマ病」が蔓延し始めたのだ。
そもそも栽培用に品種改良されたバナナは染色体が三倍体。
種がなく、球茎を伸ばして繁殖する。
遺伝的に単一(つまりクローン)であるため、免疫のない伝染病によって全滅する恐れがあるのだ。
農園で働く労働者の多くが死亡するほどの農薬を用いたにもかかわらず、世界を席巻したグロスミッチェル種は瞬く間に絶滅に瀕することとなった。
そこで現れたのが中国原産のバナナ、キャベンディッシュ種。
病害によりグロスミッチェル種が危機に瀕し、ユナイテッド・フルーツ社の業績が後退する間に、このキャベンディッシュ種へといち早く切り替えたスタンダード・フルーツ社が急成長。
実はこのスタンダードフルーツ社こそが、現在の「ドール」社であり、
キャベンディッシュ種こそが、現在われわれが普通に食べているバナナなのだ。
・・・とまぁ、バナナという作物が辿ってきた世界史はここまで。
現在起こっている新たな問題とはつまり、
グロスミッチェル種にとってかわって世界制覇したキャベンディッシュ種にも、新たな病害が発生しているのだ、ということ。
そして、キャベンディッシュ種に代わる、世界市場用の新たなバナナはまだ登場していないということ。
何年か後、私たちが普通に食べているバナナの味は、幻になるかもしれないのです。

現在の世の中、「グローバリゼーション」という大義名分のなか、世界のあらゆる文化、あらゆる多様性が、米国的侵略主義によって塗りつぶされようとしています。
(ロシアによるウクライナ進攻は、その流れへのカウンターパンチとも言われていますが、それはまた。)
世界中が同じ価値観、同じ製品、同じ言語で統一されるのは素晴らしいこと・・・なんて馬鹿な甘言を信じちゃいけません。
地球という星では、多様性こそが持続可能な未来を生む最優先事項である、そのことに変わりはないのですから。
・・・バナナの教訓は、そのことを如実に物語っていると思いませんか?
(写真撮影:ヤップ島)
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人々の暮らしの中で当たり前のように存在しているこのバナナが今、絶滅の危機に瀕していることをご存じだろうか。

アジアの熱帯各地で7000年以上前の新石器時代から栽培され、貴重な食物として品種改良されそれぞれの土地に根付いてきたバナナ。
ニューギニアの神話には、死してその頭からバナナの木が生えたとされる神「バナナデマ」が登場するし、
インドやフィリピンなどの料理では青いバナナや花を野菜として用いるものもある。
そもそもバナナという名前の語源はアラビア語であり、そのことからもかなり古い時代から、アラビアにまでバナナ文化が広がっていたことが伺える。
(コーランに出てくる楽園の禁断の果実「talh」の正体もバナナと考えられているそうだ。)
・・・世界のバランスを、修復不能で不可逆な流れへと追い込んでいくのはいつも白人だ。
19世紀、フランスの博物学者ニコラ・ボーダンがバナナをカリブ海・マルティニーク島に持ち込み、栽培を始めた。
これがグロスミッチェル種と名づけられたバナナであり、その栽培は中南米一帯へと拡大。
やがてロレンツォ・ベイカーという船乗りがこの中南米のバナナをアメリカに持ち込んだことで、大儲け。
その後継者は中南米のバナナ・プランテーションを傘下に収め、新たな農場を開いて1899年にユナイテッド・フルーツ社を設立。
これが今でも有名な「チキータ」のオリジンである。
ユナイテッド・フルーツ社は中南米で大きな勢力となり、現地の政治経済にも大きな影響を及ぼすことになる。
自らの権益を守るため、ストライキの武力制圧や虐殺、米軍の侵攻やCIAによるグアテマラ政権転覆まで画策したという話があるほどだ。
・・・伝統的な文化に浅く、資本主義による自由と成功が神話のように盲信されているアメリカという国は時に、その未熟な暴力思考と振り上げた拳の硬さで、世界の多種多様な文化を叩き潰してゆく。
世界のバナナ市場をリードしていたユナイテッド・フルーツ社とそのバナナ、グロスミッチェル種であるが・・・
1920年代から状況は思わぬ展開を迎える。
バナナを立ち枯れにする「パナマ病」が蔓延し始めたのだ。
そもそも栽培用に品種改良されたバナナは染色体が三倍体。
種がなく、球茎を伸ばして繁殖する。
遺伝的に単一(つまりクローン)であるため、免疫のない伝染病によって全滅する恐れがあるのだ。
農園で働く労働者の多くが死亡するほどの農薬を用いたにもかかわらず、世界を席巻したグロスミッチェル種は瞬く間に絶滅に瀕することとなった。
そこで現れたのが中国原産のバナナ、キャベンディッシュ種。
病害によりグロスミッチェル種が危機に瀕し、ユナイテッド・フルーツ社の業績が後退する間に、このキャベンディッシュ種へといち早く切り替えたスタンダード・フルーツ社が急成長。
実はこのスタンダードフルーツ社こそが、現在の「ドール」社であり、
キャベンディッシュ種こそが、現在われわれが普通に食べているバナナなのだ。
・・・とまぁ、バナナという作物が辿ってきた世界史はここまで。
現在起こっている新たな問題とはつまり、
グロスミッチェル種にとってかわって世界制覇したキャベンディッシュ種にも、新たな病害が発生しているのだ、ということ。
そして、キャベンディッシュ種に代わる、世界市場用の新たなバナナはまだ登場していないということ。
何年か後、私たちが普通に食べているバナナの味は、幻になるかもしれないのです。

現在の世の中、「グローバリゼーション」という大義名分のなか、世界のあらゆる文化、あらゆる多様性が、米国的侵略主義によって塗りつぶされようとしています。
(ロシアによるウクライナ進攻は、その流れへのカウンターパンチとも言われていますが、それはまた。)
世界中が同じ価値観、同じ製品、同じ言語で統一されるのは素晴らしいこと・・・なんて馬鹿な甘言を信じちゃいけません。
地球という星では、多様性こそが持続可能な未来を生む最優先事項である、そのことに変わりはないのですから。
・・・バナナの教訓は、そのことを如実に物語っていると思いませんか?
(写真撮影:ヤップ島)
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