
「ボク岩だよ!」

「岩だってば!!」
・・・岩に擬態して小魚を待ち伏せする、魚らしくない魚。
実はアンコウの仲間なんです。

クマドリカエルアンコウ
学名:Antennarius maculatus
英名:Warty Frogfish
旧和名:クマドリイザリウオ
全長:8㎝
原産地:西太平洋
泳ぎが下手で、足のように発達した胸びれで海底を歩き回る変な魚。
赤ちゃんのヨチヨチ歩きのようなその姿は、「本当に魚?」と思えるほど。
英名でFrogfishと呼ばれるこの仲間、分類学が発達していなかった17世紀頃には両生類の一種と思われていたようで、成長進化して陸に上がり、リードをつけて散歩できると書かれた図譜もあったそう。(実際できたら素晴らしい!)
その他、ウミウシが成長するとこの魚になるのだとか、いろいろフリーダムな説が飛び交ったこともあるようで、この不思議な生き物がいかに人々の妄想を拡げ混乱させてきたかが伺えます。
このクマドリカエルアンコウは、歌舞伎の隈取りのような模様が現れることからついた名で、体色は黄色、オレンジ、白、黒などバリエーション豊か。

アタマの上には背鰭の第1棘が変化した疑似餌(エスカ)を持ち、獲物をおびき寄せる習性をもっています。
(写真だとわかりにくいですね)
・・・実はこの魚、大事な話がもう一つあって、カエルアンコウと呼ばれるようになったのは2007年からのこと。
以前はイザリウオという名前で広く知られていたのが、「イザリが差別用語にあたる」とのことで「カエルアンコウ」に和名変更させられたのです。
「いざり」=「躄」とはgoogle辞書によると「ひざや尻を地につけたままで進むこと。膝行(しっこう)。」「 足が不自由で立てない人。」の意。
まぁ、「差別用語だ!」と言えばそう取れなくもないけれど、言葉による差別ってのは特定の人や集団に向けられた悪意の中にあるものであって、コトバを狩ればなくなるってもんでもない。
逆に障害者に関わるコトバが「狩り」の対象になり、タブー視されることで、障害を持ちながらたくましく生きる人々を社会から排除する結果になることだってたくさんあるわけで。
(小人プロレスが差別的だとされて職を失った小人の方々がいかに多いことか!彼らは自分たちにしかない個性に誇りをもってショービジネスにしていたのに!)
足が不自由な人が躄って何が悪いのかと。
「それはいけない!」と反応すること自体が差別ではないのでしょうか。
しかもこの「イザリウオ」の語源、疑似餌で「漁る(いざる)」魚というほうが有力だったりもしたわけで、ただ「音の響きが差別的にとられ、それによって傷つく人がいる恐れがある」というめちゃくちゃ偽善的クレームによる改名なわけです。
安易でまっとうな「偽善的クレーム」ほど社会を蝕むものはない、そう強く感じます。
今度はカエル顔アンコウ顔の人が傷つく恐れがあるかもね。
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