Post
汽車は闇を抜けてアジャンタ系へ。「けらら」(七井/益子)
category - カレー&スパイス・栃木県
2013/
05/
23シュッシュッポッポッ・・・・

ブゥオォォォッ!
ブゥオォォォッ!
汽車に揺られて七井の街へ。
汽車に揺られてアジャンタ系へ。
・・・駅を降りて愕然。

なんだこのルート66はッ!!
果てしない大空と広い大地のその中を、歩いて歩いて歩くこと30分ほど。
やっとありましたトレーダー分岐点・・・もとい、

「印度カレー&コーヒー けらら」
このあまりに自然体な店構え、東京から何時間もかけて訪問してくる客がいるとは思えないでしょう。

しかしこの「けらら」、実は日本のインド料理史を切り開いた「アジャンタ九段店」(現在麹町にて存続)出身の日本人シェフによる、いわゆる「アジャンタ系」と呼ばれるお店のひとつなのです。
インド料理マニアなら押さえておくべき一店というわけですね。

この店の店主、「くまさん」の愛称で親しまれている山本志朗氏が「アジャンタ」の南インドカレーと出会ったのは、二十歳のとき。
大学を中退した山本氏はそのまま「アジャンタ」で働きはじめ、その厨房で後に全国の「アジャンタ系」と呼ばれる名店を開くこととなる日本人シェフたちと仕事を共にすることになります。
「アジャンタ」での七年の修業の後、山本氏は故郷の益子へと戻りカレー屋さんを開業。
それがこの「けらら」なのです。

ハンドクラフトで埋め尽くされた店内。いかにも益子らしい雰囲気です。

店内のユニークな焼き物は山本さん自らの手によるもの。

あ、これはもしや・・・モ●ローにバ●ドー?
・・・なんて、いろんな元ネタを想像するのも楽しいですよ。
メニューは非常にシンプル。

「インド料理店」ではなくまさに「インドカレー店」ですね。

★チキンマサラ ¥950
セット(スープ+コーヒー)

チキンマサラはなんとも意外なドライタイプの炒めもの。
ピリ辛仕様です。

「アジャンタ」ファンならニヤリの、「あの」アチャールもついてきますよ。

★キーマカレー ¥750
完全ドライタイプのパラパラキーマ。
フワッと美味いですよ。

★チキンカレー ¥750
出ました。
南インドらしいシャバシャバスパイシーなカレーに骨付きチキンがドンッ!
これぞまさに「アジャンタ」のチキンカレーです。
九段から現在の麹町に移った本家「アジャンタ」ですが、オールドファンに言わせるとこの「けらら」のチキンカレーはまさに、九段時代の味なのだそう。
いやぁ、貴重なものをいただきました。
山本シェフ曰く、「私はアジャンタ以外でインド料理の勉強したことないから、そこで教わった作り方をずーっと続けてるだけ」とのこと。
まさに「伝統の味」というわけですね。

カレーは全て、ライスつきの価格。
・・・なのですが、チャパティがあったら頼まずにはいられない!

★チャパティ 2枚 ¥200
あらぁ、予想以上に美味いチャパティです。
益子の地でスパイシーな南インドカレーをチャパティでいただくなんて、実に幸せ・・・

★ゴビサブジ ¥450
一品料理も頼んでみました。
キャベツのスパイシー炒めといった風合いで、これはこれで美味しいです。
まさに食べまくり、舌鼓打ちまくり、満足満腹・・・と、〆に行こうとしていたところ・・・
斜向いのテーブルで食事していた超常連さん(開店以来の常連さんらしい!)が山本さんと話していた内容が気になる!!
「チキンカレーもキーマカレーも美味しいけど、東京まで行けば他に食べられる店はある。」
「でもここのポークカレーはここでしか食べられない美味さだからねぇ。」
・・・え?そんなの聞いちゃったら、注文するしかないじゃないか!ないじゃないじゃないないか!!

★ポークカレー ¥600
ふはぁ・・・こりゃぁ確かに独特!!!ちょっと食べたことのない感じです。
なんともいえない酸味がポークに染みて、これはまさに名物カレー。
タマリンドの酸味かしら?と山本さんに聞いてみたところ、「いろいろ入れてます」とのこと。
なるほど・・・って、そもそも南インド料理店「アジャンタ」にはポークカレーは無いよね?
このカレーは一体???
聞けば山本さんが「アジャンタ」から独立し益子に店を出すにあたり、益子の人からこう言われたのだとか。
「この田舎でカレー屋やるなら、ポークカレーがなきゃ客は来ないよ。」
フムフムと思った山本さんは「アジャンタ」で仲の良かったインド人シェフと2人で、東京のいろいろなポークカレーを食べ歩いたそう。
そして「これは美味い!」と思ったのが、渋谷の名店「ムルギー」のポークカレー。
山本さんはそのカレーの味を目指し(習うことはせずに)、試行錯誤の末完成させたのがこの「けらら」のポークカレーだということ。
「どうです?ムルギーのポークカレーの味、しますか?」
山本さんにそう聴かれた私ですが・・・実は渋谷「ムルギー」、今はポークカレーはやってないんですよね。
そういう意味では九段時代の「アジャンタ」の味がここで味わえたのと同様、今はなき「ムルギー」のポークカレーまで楽しむことができたという、実に実に貴重な体験だったわけです。
ふはぁ、ツイてるなぁ。ノッてるなぁ。

★マサラティー ¥400
食後、山本さんはさらにいろいろ貴重なお話を聴かせてくれました。
手元には一冊の本。

「風来坊のカレー見聞録 アジャンタ九段店の調理場から」
著者の浅野哲哉氏は山本氏と共に「アジャンタ」の厨房で働いた仲。
この本に書かれている当時の「アジャンタ」の熱気と活気、それを当事者である山本さんの口から聴けたのですから、まさに光栄の至り。

こんな貴重な体験はありません。
と、ここで「アジャンタ」の事情に詳しい方はこう思うことでしょう。
「はて・・・アジャンタの料理は南インド・アンドラ=プラディーシュ州の料理がベースのはず。何故けららという店名なの?」
それに対する山本さんの答えは非常にユニークなものでした。
「アジャンタで仲良くなったインド人シェフの出身地がケララだったんだよ。それで『もし俺が将来、店を開く時があったら、君の故郷の名前をつけるよ』と約束したんだよね」
「独立するとき『アジャンタ』の名前を使っていいよ、ということだったんだけど、そのシェフとの約束を守って『けらら』にしたわけ。」
そのインド人シェフとは先ほど書いた、美味しいポークカレーを求めて一緒に食べ歩いたというシェフのこと。
人情味あふれる山本さんらしいエピソードですね。
他の客が帰るのを見計らって、ちょっとの間、店を閉め益子の街まで車で送ってくれた山本さん。
カレーから生まれる人の繋がり、その温かさが身にしみる旅となりました。
本当にありがとうございます。
長文乱文失礼いたしました。
⇩ランキング参加中⇩ 一日一回クリックおねがいします。





ブゥオォォォッ!
ブゥオォォォッ!
汽車に揺られて七井の街へ。
汽車に揺られてアジャンタ系へ。
・・・駅を降りて愕然。

なんだこのルート66はッ!!
果てしない大空と広い大地のその中を、歩いて歩いて歩くこと30分ほど。
やっとありましたトレーダー分岐点・・・もとい、

「印度カレー&コーヒー けらら」
このあまりに自然体な店構え、東京から何時間もかけて訪問してくる客がいるとは思えないでしょう。

しかしこの「けらら」、実は日本のインド料理史を切り開いた「アジャンタ九段店」(現在麹町にて存続)出身の日本人シェフによる、いわゆる「アジャンタ系」と呼ばれるお店のひとつなのです。
インド料理マニアなら押さえておくべき一店というわけですね。

この店の店主、「くまさん」の愛称で親しまれている山本志朗氏が「アジャンタ」の南インドカレーと出会ったのは、二十歳のとき。
大学を中退した山本氏はそのまま「アジャンタ」で働きはじめ、その厨房で後に全国の「アジャンタ系」と呼ばれる名店を開くこととなる日本人シェフたちと仕事を共にすることになります。
「アジャンタ」での七年の修業の後、山本氏は故郷の益子へと戻りカレー屋さんを開業。
それがこの「けらら」なのです。

ハンドクラフトで埋め尽くされた店内。いかにも益子らしい雰囲気です。

店内のユニークな焼き物は山本さん自らの手によるもの。

あ、これはもしや・・・モ●ローにバ●ドー?
・・・なんて、いろんな元ネタを想像するのも楽しいですよ。
メニューは非常にシンプル。

「インド料理店」ではなくまさに「インドカレー店」ですね。

★チキンマサラ ¥950
セット(スープ+コーヒー)

チキンマサラはなんとも意外なドライタイプの炒めもの。
ピリ辛仕様です。

「アジャンタ」ファンならニヤリの、「あの」アチャールもついてきますよ。

★キーマカレー ¥750
完全ドライタイプのパラパラキーマ。
フワッと美味いですよ。

★チキンカレー ¥750
出ました。
南インドらしいシャバシャバスパイシーなカレーに骨付きチキンがドンッ!
これぞまさに「アジャンタ」のチキンカレーです。
九段から現在の麹町に移った本家「アジャンタ」ですが、オールドファンに言わせるとこの「けらら」のチキンカレーはまさに、九段時代の味なのだそう。
いやぁ、貴重なものをいただきました。
山本シェフ曰く、「私はアジャンタ以外でインド料理の勉強したことないから、そこで教わった作り方をずーっと続けてるだけ」とのこと。
まさに「伝統の味」というわけですね。

カレーは全て、ライスつきの価格。
・・・なのですが、チャパティがあったら頼まずにはいられない!

★チャパティ 2枚 ¥200
あらぁ、予想以上に美味いチャパティです。
益子の地でスパイシーな南インドカレーをチャパティでいただくなんて、実に幸せ・・・

★ゴビサブジ ¥450
一品料理も頼んでみました。
キャベツのスパイシー炒めといった風合いで、これはこれで美味しいです。
まさに食べまくり、舌鼓打ちまくり、満足満腹・・・と、〆に行こうとしていたところ・・・
斜向いのテーブルで食事していた超常連さん(開店以来の常連さんらしい!)が山本さんと話していた内容が気になる!!
「チキンカレーもキーマカレーも美味しいけど、東京まで行けば他に食べられる店はある。」
「でもここのポークカレーはここでしか食べられない美味さだからねぇ。」
・・・え?そんなの聞いちゃったら、注文するしかないじゃないか!ないじゃないじゃないないか!!

★ポークカレー ¥600
ふはぁ・・・こりゃぁ確かに独特!!!ちょっと食べたことのない感じです。
なんともいえない酸味がポークに染みて、これはまさに名物カレー。
タマリンドの酸味かしら?と山本さんに聞いてみたところ、「いろいろ入れてます」とのこと。
なるほど・・・って、そもそも南インド料理店「アジャンタ」にはポークカレーは無いよね?
このカレーは一体???
聞けば山本さんが「アジャンタ」から独立し益子に店を出すにあたり、益子の人からこう言われたのだとか。
「この田舎でカレー屋やるなら、ポークカレーがなきゃ客は来ないよ。」
フムフムと思った山本さんは「アジャンタ」で仲の良かったインド人シェフと2人で、東京のいろいろなポークカレーを食べ歩いたそう。
そして「これは美味い!」と思ったのが、渋谷の名店「ムルギー」のポークカレー。
山本さんはそのカレーの味を目指し(習うことはせずに)、試行錯誤の末完成させたのがこの「けらら」のポークカレーだということ。
「どうです?ムルギーのポークカレーの味、しますか?」
山本さんにそう聴かれた私ですが・・・実は渋谷「ムルギー」、今はポークカレーはやってないんですよね。
そういう意味では九段時代の「アジャンタ」の味がここで味わえたのと同様、今はなき「ムルギー」のポークカレーまで楽しむことができたという、実に実に貴重な体験だったわけです。
ふはぁ、ツイてるなぁ。ノッてるなぁ。

★マサラティー ¥400
食後、山本さんはさらにいろいろ貴重なお話を聴かせてくれました。
手元には一冊の本。

「風来坊のカレー見聞録 アジャンタ九段店の調理場から」
著者の浅野哲哉氏は山本氏と共に「アジャンタ」の厨房で働いた仲。
この本に書かれている当時の「アジャンタ」の熱気と活気、それを当事者である山本さんの口から聴けたのですから、まさに光栄の至り。

こんな貴重な体験はありません。
と、ここで「アジャンタ」の事情に詳しい方はこう思うことでしょう。
「はて・・・アジャンタの料理は南インド・アンドラ=プラディーシュ州の料理がベースのはず。何故けららという店名なの?」
それに対する山本さんの答えは非常にユニークなものでした。
「アジャンタで仲良くなったインド人シェフの出身地がケララだったんだよ。それで『もし俺が将来、店を開く時があったら、君の故郷の名前をつけるよ』と約束したんだよね」
「独立するとき『アジャンタ』の名前を使っていいよ、ということだったんだけど、そのシェフとの約束を守って『けらら』にしたわけ。」
そのインド人シェフとは先ほど書いた、美味しいポークカレーを求めて一緒に食べ歩いたというシェフのこと。
人情味あふれる山本さんらしいエピソードですね。
他の客が帰るのを見計らって、ちょっとの間、店を閉め益子の街まで車で送ってくれた山本さん。
カレーから生まれる人の繋がり、その温かさが身にしみる旅となりました。
本当にありがとうございます。
長文乱文失礼いたしました。
⇩ランキング参加中⇩ 一日一回クリックおねがいします。




- 関連記事
-
-
カレーと作家の益子焼。「カレーキッチン yamani」(益子) 2013/05/24
-
汽車は闇を抜けてアジャンタ系へ。「けらら」(七井/益子) 2013/05/23
-
宇都宮の神餃子。「正嗣 宮島店」(宇都宮/東武宇都宮) 2013/03/17
-
コメント
Re: 素敵です!
> わくわくさせられるお店だ!
> チキンもポークも食べてみたい。
是非機関車で!!!
2013-06-02 02:27 ropefish URL 編集
素敵です!
わくわくさせられるお店だ!
チキンもポークも食べてみたい。
2013-05-24 05:32 しまじろ URL 編集