ある年、「レンジャーインペリアルペコルティア」という名で2cmくらいの迷彩柄のプレコが登場しました。
当時インペリアルゼブラやキングロイヤルペコルティアといった、小型極美プレコが話題で、この新着プレコの名は明らかにそれらに「あやかった」ものでした。
小さくて、綺麗で、新着で、比較的安価だったこのプレコは随分話題になったものです。
・・・しかし、ちょっとでもプレコを見慣れた身からすると、「違うだろ!」と。
体型から何からどうみてもペコルティア属とは別物じゃないか、と。
アクアリウム雑誌の記者だって、気づいていたはず。
(気づかなきゃ記者失格です。)
なのにこんな名前が世に流通してしまうというのは・・・
つまりアクアリウム業界における魚の名前というのは、「分類上の生き物の名前」ではなく、「どうすれば売れるかを考えた商品名」に過ぎないということなのですね。
当時「小さくて綺麗なおさかな」のつもりで購入してしまったお客も多かったことでしょう。
それは飼い主にとっても魚にとっても不幸なこと。
だって、この魚の正体は、小さくもなければ綺麗でもない激シブ魚。
生後一年もたたないうちにその正体を現すのですから・・・
レンジャーインペリアルプレコ
学名:Glyptoperichthys punctatus
別名:レンジャーインペリアルペコルティア、ゴールデンスパイニープレコ
最大長:20~30cm
分布:ペルー、ブラジル・マデイラ河、ウカヤリ河、ジュルア河、プルス河
一見してわかるとおり、この魚はセイルフィンプレコと同属。
鮮やかな迷彩は生後数ヶ月の間だけで、尾ビレに僅かなホワイトエッジを残しつつ、全身茶褐色で小さな黒点が散在する渋い姿へと変化します。
野生下での最大長はセイルフィン同様30cmほど。(ペコルティアなんてとんでもない!)
水槽内では20ほどで成長が遅れるようです。
時折全身が黄化する個体もいるようで、そのような個体は「ゴールデンスパイニープレコ」という別の名前で流通している様子・・・もちろん同種ですけど・・・
いわゆるコケ取り能力は非常に高く、ガラス面のみならず水草の細い葉の上まで泳ぎながら上手に掃除しちゃいますよ。
色彩は地味も地味・・・ではあるのですが、その分・・・
環境や気分で体色が変化する楽しみもあって・・・
なかなか味わい深い魚。
「小さい頃は可愛かったのに、ねぇ~」なんて、天才子役の末路のような扱いをされないよう、暖かく接して欲しいものです。
↓一日一回。クリックはこちら



- 関連記事
-
- 魅惑の地味ナマズ。 ~ バタシオキャット ~ (2014/03/15)
- レンジャーインペリアルプレコ (2012/12/06)
- スレンダーオトシンsp. (2012/11/09)