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ロックランズの生態系~植物編~南ア特集-4-
category - 植物
2012/
11/
16★不定期連載「Curry & Wild Life.~南アフリカ特集」★
⇒目次はこちら。
南アフリカの植物、と聞いて、みなさんはどんなものを想像するでしょうか?
サバンナにそびえるバオバブの木・・・というのが一般的なイメージかも知れません。
実際、南アフリカには巨大なバオバブの木が自生しており、
その巨大な幹の中の空洞を活かしたバーがあるなんて話もあるほど。
しかし、実際の南アフリカは、我々がイメージするよりも遥かに多種多様な生態系にあふれているのです。
今回私が訪問したのは、ケープタウンから車で3~4時間ほど北上したあたりにあるセダーバーグ野生保護区(Cederberg WR)。
そこにはロックランズ Rocklandsと呼ばれる、見渡す限り巨大な風化花崗岩が連なった山々があり、
世界中のロッククライマー達の聖地となっています。

積み重なる奇妙な岩々、一般的なアフリカのイメージと異なって、
8月の朝晩にはダウンジャケットが必要なほど冷え込むんです。
逆に晴れた昼間ともなると強烈な日差しがまさに肌を刺すように照りつける、
なんともダイナミックな気候。
(オゾンホールの影響もあるのでしょうか?)

しかしロックランズは決して不毛の地ではありません。
岩に刻まれたオレンジの縦縞は水が流れた跡。
どういう原理かわかりませんが、岩から染み出し流れ出した水が岩の上に湿地を形成し、
乾燥地帯と湿地帯が入り混じった独特の生態系を作り上げているのです。
まずは、ここロックランズで出会った植物をご紹介しましょう。

日本の園芸店などで小さな鉢植えで販売されているような多肉植物が、
それこそあちこちにワサワサと生えています。
これ採集したら儲かるだろうなぁ・・・なんて考えもよぎりますが、ここは自然保護区。
もちろん、野生動植物の密輸なんてしようものならダブルの犯罪ですよ。
岩の割れ目、窪み、なるほどこんな風に自生しているのか・・・と、
園芸店では到底わからない生態に感心しきり。
一方、水が流れる岩の上には、また別の植物たちが見られます。

コケの上に見える赤い葉っぱは、モウセンゴケの一種。
もちろんコケの仲間ではなく、れっきとした食虫植物です。
ということは、小さな虫がここにいる、ということですね。

こちらはハナワラビの一種ですね。
栄養葉とは別に伸びた胞子葉が花のように見えることから名づけられたシダの仲間です。
このモウセンゴケやハナワラビの仲間は日本の山地でも見かけることができますね。
もちろん種は異なるのでしょうが、非常に親近感がわいてしまいます。

奇岩のふもとには風化した花崗岩が堆積したと思われる砂地が広がっています。
ところどころに小川が流れているため、植物相は豊富。
高さ一メートルほどの薄緑色の潅木が連なる美しい光景、砂漠のオアシスというのはこんな感じなのでしょうか。
砂地に深く根を下ろし、夜の寒さから身を守るためでしょうか、
著しく扁平で地面に張り付いたカタチの植物が数多く見られます。

こちらはアザミの仲間でしょうか、茎はほとんどなく、
地面から直接花が咲いているような感じ。
地面に張り付いた葉から、かなり硬い棘が真上に張り出し、完全な防御を誇っています。

南アフリカは花の王国とも呼ばれ、アフリカ全体の20%の植物がこのケープ周辺に自生しているとも。
固有種も多く、多肉植物はもとより、多種多様なデイジーやプロテア、「南アフリカの桜」と呼ばれるジャガランダなど、
多くの日本人がイメージする砂漠やサバンナといったアフリカとはまるで別の世界。
人種差別や犯罪で悪名高いこの国に、このうえなく美しい花々が咲き乱れているのは、
なんとも皮肉な話ではあります。
さて、次回はいよいよ、ロックランズで出会った爬虫類たちをご紹介しますよ。
★不定期連載「Curry & Wild Life.~南アフリカ特集」★
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南アフリカの植物、と聞いて、みなさんはどんなものを想像するでしょうか?
サバンナにそびえるバオバブの木・・・というのが一般的なイメージかも知れません。
実際、南アフリカには巨大なバオバブの木が自生しており、
その巨大な幹の中の空洞を活かしたバーがあるなんて話もあるほど。
しかし、実際の南アフリカは、我々がイメージするよりも遥かに多種多様な生態系にあふれているのです。
今回私が訪問したのは、ケープタウンから車で3~4時間ほど北上したあたりにあるセダーバーグ野生保護区(Cederberg WR)。

そこにはロックランズ Rocklandsと呼ばれる、見渡す限り巨大な風化花崗岩が連なった山々があり、
世界中のロッククライマー達の聖地となっています。

積み重なる奇妙な岩々、一般的なアフリカのイメージと異なって、
8月の朝晩にはダウンジャケットが必要なほど冷え込むんです。
逆に晴れた昼間ともなると強烈な日差しがまさに肌を刺すように照りつける、
なんともダイナミックな気候。
(オゾンホールの影響もあるのでしょうか?)

しかしロックランズは決して不毛の地ではありません。
岩に刻まれたオレンジの縦縞は水が流れた跡。
どういう原理かわかりませんが、岩から染み出し流れ出した水が岩の上に湿地を形成し、
乾燥地帯と湿地帯が入り混じった独特の生態系を作り上げているのです。

日本の園芸店などで小さな鉢植えで販売されているような多肉植物が、
それこそあちこちにワサワサと生えています。
これ採集したら儲かるだろうなぁ・・・なんて考えもよぎりますが、ここは自然保護区。
もちろん、野生動植物の密輸なんてしようものならダブルの犯罪ですよ。

岩の割れ目、窪み、なるほどこんな風に自生しているのか・・・と、
園芸店では到底わからない生態に感心しきり。
一方、水が流れる岩の上には、また別の植物たちが見られます。

コケの上に見える赤い葉っぱは、モウセンゴケの一種。
もちろんコケの仲間ではなく、れっきとした食虫植物です。
ということは、小さな虫がここにいる、ということですね。

こちらはハナワラビの一種ですね。
栄養葉とは別に伸びた胞子葉が花のように見えることから名づけられたシダの仲間です。
このモウセンゴケやハナワラビの仲間は日本の山地でも見かけることができますね。
もちろん種は異なるのでしょうが、非常に親近感がわいてしまいます。

奇岩のふもとには風化した花崗岩が堆積したと思われる砂地が広がっています。
ところどころに小川が流れているため、植物相は豊富。
高さ一メートルほどの薄緑色の潅木が連なる美しい光景、砂漠のオアシスというのはこんな感じなのでしょうか。
砂地に深く根を下ろし、夜の寒さから身を守るためでしょうか、
著しく扁平で地面に張り付いたカタチの植物が数多く見られます。

こちらはアザミの仲間でしょうか、茎はほとんどなく、
地面から直接花が咲いているような感じ。
地面に張り付いた葉から、かなり硬い棘が真上に張り出し、完全な防御を誇っています。
バッタなどの小さな昆虫が集まっていました。

こちらもハマミズナの仲間です。
肉厚の葉っぱの表面には水滴のような粒々が輝き、水分を蓄えています。
アイスプラント Mesembryanthemum crystallinumに近縁の種でしょう。
(アイスプラントの記事はこちら)
こんなのが自生している様子を生で見られるなんて、ちょっと感激です。

こちらもハマミズナの仲間です。
肉厚の葉っぱの表面には水滴のような粒々が輝き、水分を蓄えています。
アイスプラント Mesembryanthemum crystallinumに近縁の種でしょう。
(アイスプラントの記事はこちら)
こんなのが自生している様子を生で見られるなんて、ちょっと感激です。

南アフリカは花の王国とも呼ばれ、アフリカ全体の20%の植物がこのケープ周辺に自生しているとも。
固有種も多く、多肉植物はもとより、多種多様なデイジーやプロテア、「南アフリカの桜」と呼ばれるジャガランダなど、
多くの日本人がイメージする砂漠やサバンナといったアフリカとはまるで別の世界。
人種差別や犯罪で悪名高いこの国に、このうえなく美しい花々が咲き乱れているのは、
なんとも皮肉な話ではあります。
さて、次回はいよいよ、ロックランズで出会った爬虫類たちをご紹介しますよ。
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