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金魚のルーツ、金魚の学名
category - コイ&ドジョウ
2009/
08/
14今日は最もポピュラーな観賞魚「金魚」について。

金魚の品種「地金」
みなさんご存知の通り、
金魚はフナの突然変異であるヒブナを品種改良したもの、
とされています。
ではヒブナとは?
実はヒブナと言うのは、
フナ属の魚が黒い色素を欠き赤変した個体の総称なのです。
国の天然記念物に指定されている釧路の「春採湖のヒブナ個体群」は、
ギンブナの突然変異であることが判明していますが、
では金魚のルーツがこのギンブナが変異したヒブナであるかについては、
大きな疑問があります。
なぜならギンブナはメスだけで増える「雌性発生」をするのに対し、
金魚はそうでないから。
メスだけで増える「雌性発生」の場合、
遺伝子の交換がないクローンとして子孫を残すので突然変異が保存されやすく、
春採湖のような野生下においてもヒブナが個体群として生息できるのですが、
逆に金魚のように交配を重ねて新しい品種を作るということは不可能になります。
つまり金魚のルーツは、ギンブナではないフナの突然変異であるヒブナ、
となります。
ではどのフナ?
というと、実は全く判っていないというのが実情です。

金魚の品種「琉金」
金魚は中国由来ですから、中国のフナであると考えるのが自然なのですが、
そもそも、フナの仲間の学名は全く整理が進んでおらず、
日本のフナと中国のフナが同種なのか?
そもそも日本のギンブナやニゴロブナなどの様々なフナも別種なのか>それとも亜種なのか?
意見の統一が図れていないのです。
フナほどのポピュラーな魚が・・・驚きですね。
実際、ギンブナの学名だけでも、
Carassius langsdorfii
Carassius auratus langsdorfii
Carassius gibelio langsdorfii
の3種があり、文献によって見解が分かれています。
フナの分類がこんな状態ですから、
どのフナの改良品種かも判らない金魚に学名なんて付けられるはずが・・・
と思うのが普通なのですが、
実は金魚だけは学名がしっかり付いているんです!
Carassius auratus auratus
これが金魚の学名です。
和金も、らんちゅうも、コメットも、ピンポンパールも、出目金も、この学名です。
Carassiusはフナ属。
auratusは「金色の」。
つまり「金色のフナ」すなわち金魚となります。
2つめのauratusの部分は亜種の識別部分にあたります。
auratus auratusといったように種名が繰り返されるものは通常「基亜種」と呼ばれ、
その種の標準となる亜種です。
そもそも金魚は改良品種ですから、基亜種であるはずもないのですが・・・
この東洋の美しい魚は古くからヨーロッパに知られており、
ヨーロッパの学者が、
「もともとはどこから来たのか判らないが、
金魚という魚は美しいし、人気があるから学名をつけよう。
他の黒っぽいフナは見分けが付きにくいし面倒くさいから、
とりあえず見分けやすい金魚を基亜種扱いにしちゃえ。」
ということだったのでしょうか?
実際金魚の学名記載は古く、なんと1758年のこと!
日本では江戸時代、中国では清の時代ですね。
現代では新種登録を行う際、独立した種であることの証明に、
生息地に対する考察が重要な要素となりますから、
いくらポピュラーとはいえ改良品種に固有の学名が付くこと自体ありえません。
先ほどのギンブナの学名に、Carassius auratus langsdorfii というものもありますが、
この学名を真に受けると、
「ギンブナは金魚の亜種である」ということになります。
「日本に自然分布し、雌性発生する魚であるギンブナは、
中国のいずれかのフナが突然変異したヒブナを改良してできた金魚の亜種である。」
なんてことは100%ありえませんから、混迷の度合いが見て取れますね。

「らんちゅう」学名:Carassius auratus auratus

「蝶尾出目金」学名:Carassius auratus auratus

「花房」学名:Carassius auratus auratus

「頂点眼」学名:Carassius auratus auratus

「高頭パール」学名:Carassius auratus auratus

「水泡眼」学名:Carassius auratus auratus
いずれにしても学名をつけてしまったものはしょうがない。
黒出目金とかが学名上「キンイロブナ」という種の基亜種だというのはさすがに納得いきませんが、金魚の長い歴史のなせる業として・・・ここはひとつ大目に見ましょうか。

キンギョ
学名:Carassius auratus auratus
最大長:30cm(記録では59cm)
原産地:中国(改良品種)
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金魚の品種「地金」
みなさんご存知の通り、
金魚はフナの突然変異であるヒブナを品種改良したもの、
とされています。
ではヒブナとは?
実はヒブナと言うのは、
フナ属の魚が黒い色素を欠き赤変した個体の総称なのです。
国の天然記念物に指定されている釧路の「春採湖のヒブナ個体群」は、
ギンブナの突然変異であることが判明していますが、
では金魚のルーツがこのギンブナが変異したヒブナであるかについては、
大きな疑問があります。
なぜならギンブナはメスだけで増える「雌性発生」をするのに対し、
金魚はそうでないから。
メスだけで増える「雌性発生」の場合、
遺伝子の交換がないクローンとして子孫を残すので突然変異が保存されやすく、
春採湖のような野生下においてもヒブナが個体群として生息できるのですが、
逆に金魚のように交配を重ねて新しい品種を作るということは不可能になります。
つまり金魚のルーツは、ギンブナではないフナの突然変異であるヒブナ、
となります。
ではどのフナ?
というと、実は全く判っていないというのが実情です。

金魚の品種「琉金」
金魚は中国由来ですから、中国のフナであると考えるのが自然なのですが、
そもそも、フナの仲間の学名は全く整理が進んでおらず、
日本のフナと中国のフナが同種なのか?
そもそも日本のギンブナやニゴロブナなどの様々なフナも別種なのか>それとも亜種なのか?
意見の統一が図れていないのです。
フナほどのポピュラーな魚が・・・驚きですね。
実際、ギンブナの学名だけでも、
Carassius langsdorfii
Carassius auratus langsdorfii
Carassius gibelio langsdorfii
の3種があり、文献によって見解が分かれています。
フナの分類がこんな状態ですから、
どのフナの改良品種かも判らない金魚に学名なんて付けられるはずが・・・
と思うのが普通なのですが、
実は金魚だけは学名がしっかり付いているんです!
Carassius auratus auratus
これが金魚の学名です。
和金も、らんちゅうも、コメットも、ピンポンパールも、出目金も、この学名です。
Carassiusはフナ属。
auratusは「金色の」。
つまり「金色のフナ」すなわち金魚となります。
2つめのauratusの部分は亜種の識別部分にあたります。
auratus auratusといったように種名が繰り返されるものは通常「基亜種」と呼ばれ、
その種の標準となる亜種です。
そもそも金魚は改良品種ですから、基亜種であるはずもないのですが・・・
この東洋の美しい魚は古くからヨーロッパに知られており、
ヨーロッパの学者が、
「もともとはどこから来たのか判らないが、
金魚という魚は美しいし、人気があるから学名をつけよう。
他の黒っぽいフナは見分けが付きにくいし面倒くさいから、
とりあえず見分けやすい金魚を基亜種扱いにしちゃえ。」
ということだったのでしょうか?
実際金魚の学名記載は古く、なんと1758年のこと!
日本では江戸時代、中国では清の時代ですね。
現代では新種登録を行う際、独立した種であることの証明に、
生息地に対する考察が重要な要素となりますから、
いくらポピュラーとはいえ改良品種に固有の学名が付くこと自体ありえません。
先ほどのギンブナの学名に、Carassius auratus langsdorfii というものもありますが、
この学名を真に受けると、
「ギンブナは金魚の亜種である」ということになります。
「日本に自然分布し、雌性発生する魚であるギンブナは、
中国のいずれかのフナが突然変異したヒブナを改良してできた金魚の亜種である。」
なんてことは100%ありえませんから、混迷の度合いが見て取れますね。

「らんちゅう」学名:Carassius auratus auratus

「蝶尾出目金」学名:Carassius auratus auratus

「花房」学名:Carassius auratus auratus

「頂点眼」学名:Carassius auratus auratus

「高頭パール」学名:Carassius auratus auratus

「水泡眼」学名:Carassius auratus auratus
いずれにしても学名をつけてしまったものはしょうがない。
黒出目金とかが学名上「キンイロブナ」という種の基亜種だというのはさすがに納得いきませんが、金魚の長い歴史のなせる業として・・・ここはひとつ大目に見ましょうか。

キンギョ
学名:Carassius auratus auratus
最大長:30cm(記録では59cm)
原産地:中国(改良品種)
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コメント
1. こんにちは
小学生の頃、金魚の養殖をしている人のところによく遊びに言ってたのですが、採卵して育てていく間に赤くならずにフナのように黒っぽいままの固体が出てきます。
先祖がえりするのがいるんだという風に聞いてましたがフナとはやはりちょっと違うような気もしました。
黒いままのは出荷できないので煮魚にして食べてみたことがありますが(失礼)でろんとしていて美味しくなかったのを覚えています(-_-;)
フナが学術的に整理されていないのも驚きですが金魚に学名がついているのも驚きました。
2009-08-16 12:02 sakayasan URL 編集