ラオスといえば、北に中華人民共和国、西にミャンマー、東にベトナム、南にカンボジア、そしてタイと国境を接する国。
たくさんの国々に囲まれている一方で、東南アジア諸国で唯一、海と面していない内陸国でもあります。
共産主義国家として長きに渡り資本主義国家との交流を絶っていた歴史もあって、
東南アジア諸国の中でも非常にマイナーな存在といえるラオス、その料理が都内で食べられる場所といえば非常に限られてきます。
ラオス出身のお母さんが切り盛りする四谷の「稲草園」だって、
タイやベトナム、中華などアジア各国料理のお店といった感じで、ラオス料理を堪能するという感じではなく、
むしろラオスと国境を接するタイ・イサーン地方の料理を出すお店のほうが、
「ソムタム ラオ(ラオス式ソムタム)」などラオスの料理を提供してくれることが多いような気がします。
実際イサーンとラオスは料理においてかなり共通するものが多いようですし、
そもそもラオス語とタイ語は方言レベルの関係であることから、料理名自体も同じものが多いのです。
しかし・・・それでもかなりマニアックなお店でマニアックな注文をすることが必要ですが。
そんなラオス料理を取り巻く状況の中で、とても貴重なお店がこちら。
「ラオ・タイ食堂 ランサーン」
吉祥寺にある、ラオス料理とタイ料理のお店です。
店名の「ランサーン」とは「100万の象」という意で、ラオ族による史上初めての統一王朝の名前。
つまりここ、「ラオス料理も出すタイ料理店」ではなく、「タイ料理も出すラオス料理店」だというわけです。
ここまでラオスを前面に出したお店、ちょっと他にはなかなかありません。
店内はどっちを向いても象だらけ。
さすがランサーン!!!
メニューにも、タイ料理とラオス料理はちゃんと区分けされています。
あたりまえのようで、これ大事。
ビアラオ ダーク ¥580
ラオスを代表するビールですね。
黒ビールのコクと、東南アジア系ビールらしいキレが絶妙な美味ビールです。
ガイヤン ¥1030
タイ・イサーン名物のチキングリル、「ガイヤーン」のラオス版ですね。
優雅にカーヴィングされた野菜と盛り付けるタイ料理と比べると、ワイルド&ローカル感バリバリの見栄え。
イサーンでは辛味ダレに浸けて食べるのに対し、こちらはスイートチリ。
中国とも国境を面している感じがリアルに伝わってきます。
で、これはこれで野趣溢れて美味しい。

コーイ パー ¥1200
香草入り魚サラダ。イサーンでいうところの「ラープ プラー」ですね。
海はないものの、メコン川の豊かな水産資源に恵まれたラオスは魚料理が豊富。
現地ではプラーチョンなどのスネークヘッドを使用することが多いようですが、これはタラを用いているようです。
ピッキーヌやレモングラス、レモンなどでかなり濃厚にスッパ辛い味付け。
辛党としてはかなりの満足度!!
らおらお梅割り ¥530
タイのモンシャムと並び、沖縄の泡盛のルーツとされるラオスのもち米焼酎ラオラオ。
自家製の梅でいただきました。
めっちゃ香りが良くて最高!!!
ケーン ノーマイ ¥1150
ラオスの竹の子スープ。
いかにも森林が多いラオスっぽい料理ですね。
「ケーン」というからタイカレー(ゲーン)に似た類かと思ったら、いやいや全然違った。
唐辛子の辛さはありつつも、とろみあるスープに胡椒と塩、ニンニクをふんだんに用いた味付けは、
むしろ北に国境を面する中華への近さを感じさせる仕上がり。
なるほど、そうきたか・・・面白いなぁ、と嬉しくなってしまう料理なのです。
カオニャオダム ¥500
黒米入りの蒸しもち米。
イサーンのカオニャオ同様、手でつまんでいただきます。
タイ料理店ではラップが使われていることが多いのですが、
こちらは器にじかに盛られており、米の香りがまさに生き生きとしているようです。
とっても美味しい!!
メンラッサイ ロンターン ¥500
練乳たっぷりのカキ氷に、パーム椰子=アブラヤシの実の砂糖漬けと、バジルシードがどっさり。
ベトナムのチェーのような風合いもあり、暑い夏にぴったりの美味さ!!
大満足!!
タイ東北イサーンの料理と非常に似通いつつ、意外なチューニングの違いがあったり、
中国やベトナムなど他の隣接国の影響を感じさせる料理があったりと、
一つ一つ食べながら、「へぇ~」「なるほど」「面白い」と好奇心を刺激されっぱなしのひととき。
しかもただ珍しいだけでなく、イサーンあたりのスッパ辛い料理が大好きな人にとってはたまらない味付けの数々。
文句なく珍しくて、美味しくて、貴重なお店です。
みなさんも是非、吉祥寺でラオス料理を体験してみてくださいね!!
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ランサーン (東南アジア料理 / 吉祥寺駅、井の頭公園駅)
夜総合点★★★★☆ 4.0
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