「シャンティ」と並ぶ札幌スープカレーのスタンダードとして名を馳せた、
「カレー食堂 心(こころ)」。
現在では都内に一店舗、下北沢店を残すのみとなりました。
が、面白いもので、大規模チェーン展開していた頃は、
「え、心? フフン・・・」な感じでちょっとナメたような目線だったカレーマニアも、
今では「下北の心、案外イケるよ」的評価に変わったりするものですから、
世の流行の儚さとは裏腹に、流行ることで薄れる価値と、廃れることで増す価値、
なんとこの世はバランスなのだと感慨ひとしおな部分もあったり。
とにかく、今現在このお店は、シモキタの人々に結構愛されているわけです。
つまりそれは、元々の実力が嘘ではなかった証。
具材、辛さ、量、トッピングとカスタマイズできるメニュー。
そんなスタイルも今では札幌スープカレーのスタンダードであります。
でも、そもそもスープカレー自体、
本来はかなり革新的かつ独創的な食べ物であったはずで、
そこに「スタンダード」という言葉が当て嵌まるようになるまでには、どれだけの苦労があったのか。
たまには思いを馳せてみるのもまた愉し。
スープカレーの具材は、あまり迷わず気分と直感で選ぶのが吉ですよ。
もち豚とほうれん草のスープカレー ¥1080
辛さは追加料金なしMAXの10辛で。
今ではスタンダードとなった、
焦がしバジルを使用したブイヨントマトベースのスープ。
オーナーの開氏が修行時代に学んだイタリアン・フレンチの技術を応用した調理方法だそう。
『洋食のフォン・ド・ボーの技法を用いて鶏ガラ、豚骨、牛骨と玉ねぎ、
ブーケガルニ等の8種類の香味野菜、14種類の食材をじっくり10時間以上煮込む。
その後、鶏ガラや野菜等をシノワ(漉し器)で丹念に漉す。
肉系から抽出するブイヨンはブーケガルニ・野菜等と長時間煮込む事で香りや風味が増し、
味に深みが出ます。』(お店HPより)
MIXチーズトッピング +¥150
北海道の食べ物だから、チーズが合わないわけがない。
ほどよく辛いスープにとろけるチーズは、塩バターラーメンにも通ずる幸せ感です。
ライスは玄米を選択。
並盛(200g)でお願いしました。
べろっと載った海苔が、オリジナリティあふれる風情を醸し出しています。
本当に、ここのスープカレーは、
スープカレーという食べ物のど真ん中、といった味わい。
でもその、借り物ではないスタンダード感の裏には、
食材や調理法への徹底したこだわりがあるのです。
もちろん、不味いわけがない。
一見普通に見えるこのスプーンだって、
スープを最後の一滴まで掬うことができるよう、
絶妙の先細具合になっていたりと、よく考えられており流石。
ただしかし、あまりにチェーン展開が盛んだと、
そういったこだわりの部分がだんだんと見えにくくなって、
どんどん「普通の食べ物」に見えてきてしまうのですよね・・・
個人的には多店舗チェーン展開でツウの心をつかみ続ける店って、
「天下一品」と「蒙古タンメン中本」くらいかなぁ、と思ったり。
どちらも、実は店舗ごとのオリジナリティを尊重しているから、
巡る楽しみがある点で共通なのです。
どこに行っても同じ店、同じサービスじゃぁ、こんなにつまらないことはない。
東京全体が、そういった壮大なつまらなさに向かっているご時世、
「そこに行かなきゃ食べられないもの」の価値はどんどん増してゆきます。
この「スープカレー心」がチェーン拡大路線をやめたのも、
その本来の「心」を見失わないためだと思いたいもの。
下北名物、「心」のスープカレー。
いいじゃありませんか。
PS.
この日お店を出たところでなんと、
先日カレー本に出演したばかりの某お武家さんと遭遇。
あちらはもうひとつのシモキタ名物スープカレー店からの帰りだったそうで、
まさに、スパイスのマジック・・・とでもいうべき奇遇ぶりにビックリ。
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カレー食堂 心 下北沢店 (スープカレー / 下北沢駅、東北沢駅、池ノ上駅)
昼総合点★★★☆☆ 3.5
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