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カレー細胞 -The Curry Cell-

あらゆるカレーを紹介し続けるプロジェクト。 時々、珍生物記事もアップするのでマニアは要チェック! 【禁無断転載】写真、文章を転載希望の方はコメント欄などでご連絡ください。

甘さと辛さの超落差。熱烈ファンを集める金沢カレーの個性派。「てきさす」(金沢市)

金沢カレーの歴史を辿る旅。

金沢カレーの老舗たちの殆どは、電車の駅から離れたところにあるんです。
古き洋食文化から生まれた金沢カレー。
家族でクルマに乗って洋食を食べに行く、なんて昭和のゼイタクが感覚値として残っているのかも知れません。

今回のお店もそう。

クルマなしでどうやって行くのか・・・なんて思っていたのですが、バスがありました。

金沢駅西口から県庁前まで。
そこからさらに徒歩10分ほど。


あ、ありました。


「てきさす」

こちら金沢カレー最初期のパイオニアのひとつ「インデアンカレー」から、初期の暖簾分けとして誕生したお店。

かつて金沢で一番勢いのあるカレーチェーンだった「インデアンカレー」ですが、一時直営店は途絶え、FC店のみに。
(現在は復活しています)
そういう意味においてもこの「てきさす」、金沢カレーの過去と現在をつなぐ存在です。


「インデアン」のトレードマークはアメリカのインディアン。
「てきさす」という名前や内装に、その血を感じますね。


店内にはマンガがたくさん。
この昭和な雰囲気、もはや立派な老舗であります。


カウンター席も多く、おひとり様も多い印象。


前身である「インデアンカレー」同様、メニューはカレーとスパゲッティの二枚看板。
「インデアン」名物「やさ玉」の他、たこ焼きカレーや、ちゃんぽんスパなどという変わり種まであります。

そして私のオーダーはこちら。


★テキサスロールカレー ¥800

店名を冠したオリジナルメニューです。

まずはセットのお吸い物に注目。

なんと甘海老入り!
さすが金沢!

そしてカレーは「キッチンユキ」に迫る黒さ。

ネットリと、はじめビックリするほど甘く、後から意外なほど辛く。
その落差は大阪「インデアンカレー」(金沢「インデアンカレー」とは別)を遥かに凌ぐほど。
野茂英雄のフォークボールほどの落差です。

この独自進化を遂げたカレー、素晴らしすぎますぞ!


そしてテキサスロールとはなんと、紫蘇と焼きタラコを巻いたロールカツ。

いやいやいや・・・ちょっとこれ、反則級の美味さです。

なんだなんだ、このカレー当たりも当たり。
食べ終わった先からまた食べたい。

金沢カレーの系譜としては傍流ながら地元に熱烈なファンを集めるこのお店、その理由に納得です。


食後にはセットのコーヒー。
満足度は半端ではありません。

ここは遠くからでも狙っていくべきお店。
金沢カレーの枠を超え、洋食カレーの名店ですよ。


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てきさす



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チャンカレFC出身、金沢カレーのニューウェーブ。「ゴールドカレー本店」(金沢)

金沢カレーの歴史を辿る旅。

今回は比較的ニューウェーブといえるこちらへ。

「ゴールドカレー本店」

東京に進出してきた時「はて、こんな金沢カレーあったっけ?」と思ってしまったのですが、それもそのはず。
こちら元々チャンカレのフランチャイズ店「カレーのチャンピオン 新県庁前店」だったのが独立開業したお店だったんです。

ちなみにチャンカレは工場で一括生産したカレーをFC店に下ろしており製法やレシピは教えないため、カレー自体は別物。
といいつつ、やはりチャンカレの影響を受けまくっていることは間違いないですね。


チャンカレの前身である「タナカのターバン」にあったような「大食いチャレンジカレー」もありますし。
(昔は大学サークルの新歓として「タナカのターバン」のチャレンジカレーに挑戦させるのが定番でした。懐かしい!)

けれどただチャンカレのオマージュで終わるのではなく、新しい試みもあれこれ。
バンコクに進出し、そちらから逆輸入した「ガパオカレー」をここで提供していたりも。


若くてやんちゃな雰囲気が楽しいですね。

ところで私は今回、短い金沢滞在でアホみたいに食べまくっていた(3日で16軒)ため、こちらでも盛りは少な目でのオーダー。

★ミルフィーユカレー(SS) ¥650

柄が黄色いフォーク。
この辺りもチャンカレの影響ですね。


サクッと存在感あるミルフィーユカツ。
カレーはチャンカレとゴーゴーのちょうど中間的な味わい。
ちょっとチャンカレ寄りかな。


セルフでみそ汁のサービスも。
このあたりは「インデアンカレー」の影響でしょうか。

残念ながら、東京中野のお店は閉店してしまったけれど、金沢発金沢カレーの一角を担うお店としてこれからも頑張ってほしいですね。


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ゴールドカレー 本店



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金沢洋食文化が育んだ、コク深きブラックカレー。「キッチンユキ」(松任)

金沢カレーの歴史を辿る旅。

こちらもまた金沢カレー成立の鍵を握る重要なお店。
金沢カレーが、洋食文化の伝統の中から生まれ培われてきた、そのことを今に伝える老舗洋食屋さんです。


「キッチンユキ」

まず、お店が巨大。
東京でこのスケールの洋食店って存在するのかしらってなくらい巨大。
家族でクルマに乗って洋食を食べに行く、そんな昭和のワクワク感が伝わってきます。


外観も巨大なら、厨房も壮観。
コック帽を頭に乗せたベテランシェフたちがズラリ並び、無駄のない動きで調理を続けています。


客席シートはモダンでハイカラなブルーグレー。
たくさんのテーブル席が規則正しく並ぶさまは、70年代のオシャレなフランス映画か、SFに出てくる宇宙ステーションのよう。

「キッチンユキ」の創業は1966年。
創業者は、宮島幸雄氏。

金沢カレー黎明期を支え、現在老舗と呼ばれるカレー店を興したシェフたちがみな、かつて「レストラン ニューカナザワ」の同窓だったことは良く知られています。

その初代チーフコックこそが現「カレーのチャンピオン」創業者であり、金沢カレーのスタイルを確立したとされる田中吉和氏だったのですが、実は宮島氏はそれより前、金沢の伝説的洋食店「狸茶屋」の厨房において既に田中氏と共に働いており、「ニューカナザワ」においてもサブチーフを務めるなど、互いに切磋琢磨する仲だったようです。

1961年に田中氏は独立し「洋食タナカ」を創業。
そのカレーが人気を呼び、1963年ころまでには現在の金沢カレーの原型となるスタイルが確立していたようです。
「洋食タナカ」のカレーレシピは「ニューカナザワ」の同窓であった今度忠氏に伝えられ、1964年、金沢カレー初の専門店「インデアンカレー」が誕生。

続いて1966年、金沢駅前に「キッチンユキ」が誕生します。
「キッチンユキ」創業にあたって「洋食タナカ」「インデアンカレー」に共通するレシピが宮島氏に伝えられたという話があります。
カレースタイルの共通性、シェフ同士の親交から察するに、きっとそのような情報交換はあったのでしょう。

けれどもそれがすなわち、宮島氏が田中氏のカレーをそっくり真似たということではないのかもしれません。

長きにわたり共に切磋琢磨してきた両氏。
「ニューカナザワ」時代に提供していたカレーは今の金沢カレーとは全く別のカレーだったようです(レシピが記録に残っています)が、その前の「狸茶屋」ではどんなカレーを出していたのでしょう?
その頃気鋭のシェフだった両氏は、厨房でどんなカレー談義を交わしていたのでしょう?

興味は尽きません。


「キッチンユキ」では、自店のカレーを「ブラックカレー」と呼んでいます。
実はこの名前、日本洋食のパイオニアであり、田中氏がかつて修業した「東洋軒」のカレーと同じ。

田中氏、宮島氏の交流の中で、洋食に対する互いの研鑽があったのではないでしょうか。

現在でも「チャンカレ」の社員が、金沢カレー黎明期の良き空気を守り続ける貴重なお店として「キッチンユキ」を訪れ勉強するといいます。
金沢の洋食文化が生んだ独特のカレー、そのルーツを語る上でこの店は外せないお店なのです。

「キッチンユキ」の魅力は、その料理バリエーションの多さ。


カレーだけでない、独特な金沢洋食の数々。
それらをいろいろな組み合わせで楽しむことができるんです。

どれにしようか、ワクワクしてしまいますね。


★トンカツカレー ¥830

こちら、「キッチンユキ」が誇る「ブラックカレー」の代表作にして、金沢カレーの基本形。
「チャンカレ」がスパイシーな方向に進化したのに対し、こちらのブラックカレーはより黒く、コク重視に進化しているのが特長です。

辛さは控えめ。
しかし同様に黒い、現「ターバン」や「ゴーゴーカレー」とも異なった、旨味の強さが際立つ逸品。


★カレースパ&カレー トンカツのせ ¥1050

こちらはつまり、カツカレーとカレースパを一度に楽しめる欲張りな一皿。
金沢カレーの特徴でもある先割れスプーンでいただくのは、こうしていろんな洋食に応用できる理由もあるのかも。
・・・ま、先割れスプーンでスパゲッティ食べるのはちょっと時間がかかりますが。


★カレーベーキ トンカツのせ ¥970

こちらの名物の一つである「ベーキライス」にカレーとトンカツを合わせた一皿。
「ベーキ」は「bake」つまり「焼く」からきているそうで、つまり洋風焼き飯です。
こりゃあ楽しいですね。


★チーズカレーハントン ¥930

金沢の名物と言っても過言でないご当地洋食「ハントンライス」。
「キッチンユキ」の創業者宮島幸雄は、考案者を知っている数少ない人だったそう。
その味にブラックカレーを加えたハイブリッドな一皿。
魚の白身フライとタルタルソースがトッピングされています。
まさに金沢の、ここでしかいただけない洋食カレーですね。

金沢洋食の歴史と、金沢カレーの歴史。
その独特の空気感を味わうならここ。

わざわざ足を運ぶ価値のあるお店です。


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キッチンユキ 本店



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金沢カレーのパイオニア、その凄みを探る。「カレーのチャンピオン本店」(野々市)

金沢カレーの歴史を辿る旅。
今回一番の目的地はこちら。


「カレーのチャンピオン本店」

通称「チャンカレ」。
金沢の洋食文化が生んだ「金沢カレー」のパイオニアとしてJapanese Curry Awards2017受賞。
実は今回、そのメダルを届けに来たのです。

今や全国的知名度となった「金沢カレー」。
けれど、その歴史については曖昧にされていることが多すぎました。

そもそも「金沢カレー」という言葉自体、2000年代に入って「ゴーゴーカレー」がプロモーショナルな意味で広めたものであり、それ故、町おこしB級グルメ的な見られ方をすることもありますが、違うんです。
全然違うんです。

私が金沢に住んでいたのは1988~1992年の4年間ですが、それより遥か前、1960年代から、金沢の洋食文化に培われ、確立したカレーのスタイルこそが、今日「金沢カレー」と呼ばれているものなんですね。

ですが上記のような理由から、永らく「金沢カレー」とググるとゴーゴーカレーばかりがヒットする。
またはゴーゴーカレーの姉妹店としての「ターバン」が「金沢カレーのパイオニア」として引っかかってくる。
一方金沢にいくつかあるカレーの老舗は「金沢カレー」のワードには引っかかってこないため、世間一般の大きな誤解が生じてきたわけです。

このことに私はずっと引っかかっていました。

「金沢カレーのパイオニアはターバン」
このことはある意味真実であるとともに、ある意味大きな誤解を生む原因となっています。

事実関係を要約すると、
洋食シェフとして金沢カレーのレシピの基礎を作った田中シェフは、「ターバン」立ち上げ時の共同経営者の一人だった。
が、数年後に共同経営は解消、金沢には長きにわたり2つのターバンがあった。
レシピを持った田中氏の「ターバン」は後に改名、「カレーのチャンピオン」として知られている。


ということなのです。


野々市にあるこの「カレーのチャンピオン本店」はかつて、「タナカのターバン」と呼ばれており、私も良く通ったもの。

その創業者であり、金沢カレーのレシピの基礎を作った田中吉和氏は、几帳面にモノを保管する性格だったらしく、
こちらのお店には金沢カレー黎明期の貴重な資料が展示されています。

金沢カレーの黎明期は1960年代。
当時を知る者も少なくなってきた今、その歴史をしっかり記録しておこうと今年、チャンカレのサイトに素晴らしい記事が公開されました。

⇒「金沢カレーの歴史」

憶測や誇張を排し、冷静に、現存する資料と当時を知る人の証言によって構成された、素晴らしいコンテンツ。
本当はこれを読めば、私が伝えることなど何もないのですが・・・・

まず驚くのは、田中吉和氏の洋食シェフとしてのルーツ。
日本洋食のパイオニアとして有名な、あの「東洋軒」にまで溯るんですね。

1950年代、鉄道弘済会が運営母体である「レストラン ニューカナザワ」で初代チーフコックとして勤務した田中吉和氏は、その後独立し「洋食タナカ」を開業。
1963年頃までには今日「金沢カレー」と呼ばれるスタイルのカレーを提供開始、人気を呼びます。
この頃田中氏から直接・間接的に共有されたレシピによって生まれたのが「インデアンカレー」(1964)「キッチンユキ」(1966)「カレーの市民アルバ」(1971 )
これらのお店が金沢カレーの源流と呼ばれる所以です。

一方「洋食タナカ」もカレー人気を受け1965年に「カレーライスのタナカ」と改称。

(当時のメニューがお店に展示されていました)

そして1971年。
「カレーライスのタナカ」の常連だった岡田隆氏の誘いで「カレーのタナカ」を改称。
田中・岡田両氏共同経営としたのが「ターバンカレー」の始まりです。

この時まさに「ターバン」は本家本流「金沢カレーの元祖」といえる存在でした。

ところが1973年、田中氏と岡田氏は共同経営を解消。

田中氏は本拠を野々市に移し「タナカのターバン」として再スタート。
その後20年ほどの間、2つの「ターバン」が共存することになります。

さらに1996年。
「ターバン」という名が商標登録され、「タナカのターバン」は「ターバン」を名乗ることができなくなり、「カレーのチャンピオン」と改名。
今のチャンカレに至るわけです。


今日、金沢カレーのイメージとして刷り込まれている赤と黄色も、地元ではチャンカレのイメージカラー。
「ゴーゴーカレー」が新宿でスタートした際も「あ、チャンカレを真似たな」と皆思ったものです。

実は今回、厨房内も見学させていただいたのですが、ここで目から鱗が落ちるような、相当な衝撃を受けました。
(ちゃんと衛生帽をかぶって入りました。もちろん目から鱗を床に落としたりもしていませんよ)


見てください。
全ての厨房設備が、昨日設置されたかのようにピカピカ。
隅々まで油カスひとつ見当たらない。
聞けば10年以上使っている設備とのことですが、ちょっとありえないレベルです。

「プライドですよ」とは厨房の職人さんの弁。


そして、大鍋でルゥをじっくりじっくりかき混ぜ続ける大ベテランシェフ。
実はかつて「インデアンカレー」の人気メニュー「ヤサタマ」を開発したご本人!
金沢カレーのパイオニアたちの人的交流を実感。

その他、厨房のどこからも見える複数の時計配置、曜日や時間による来客数、オーダーを予測し先回りした仕込みなど、「チェーンのカレー店」というイメージとは真逆の「研ぎ澄まされた洋食職人たちの連携プレー」。

遥か昔、「東洋軒」から連なる、由緒正しい金沢洋食文化が、カレー専門店というカタチで受け継がれていることを実感しました。

・・・さて、感心しているだけではいけません。

本店の職人たちによる、特別なカレーをいただかねば。
私としては実に四半世紀ぶりに。

★ミニカツカレー ¥580
★ソーセージトッピング +¥100


チャンカレの代名詞でもあるLカツカレーに対し、カツ薄めの通称「Mカツ」でのオーダー。
トンカツの肉の美味さを楽しむならLカツ、衣のサクッと感を楽しむならMカツといったところです。
もちろん、マヨネーズかけは欠かせませんよ。
これで一気に洋食感がアップします。


まずはカレー自体。
「ターバン」分裂後、レシピを改良した結果、他の金沢カレーと比べてもスパイシーさが強いのが特徴。
そして、田中氏のレシピを受け継ぐ「キッチンユキ」「アルバ」「インデアンカレー」に共通する独特の「旨み」も健在です。
やっぱり中毒性ありますね。

さらに今回は甘口も食べ比べてみたのですが、こちらは刺激抑え目。フワッとした旨味押しでこれまた好きな人には好きな味。

Mカツの衣はサックサク。
油がカレーに垂れてベチャットすることもなく、このあたりは流石の職人技。

さらに、今回再認識したのがウインナーの美味さ。
これ、どうしようもなく美味いです。

聞けば、揚げてカレーに合わせるためのウインナーというのが世の中に存在しなかったため、オーダーメイドで開発したそう。
脂がカレーを邪魔することなく、旨味と歯ごたえだけが加算されるという素晴らしい役を担っています。
トッピングマストですね。

今回の訪問で実感しました。
金沢カレーとは、いったい何か。

「洋食の伝統的な技法・製法をベースにし、金沢の地で合理化・再設計されたカレー」

ということが。


実はチャンカレの次の動きとして、レシピの一般公開、つまりオープンソース化が進行中とのこと。
金沢カレーに対する誤解を解くためだそうですが、レシピ公開しても真似しきれない経験値と職人技がなければできないこと。

金沢カレーの絶対王者、ガンガン攻めてますね。

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カレーのチャンピオン 本店



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謎多き金沢カレー「元祖」の味。「ターバンカレー本店」(金沢)

金沢カレーの歴史を巡る旅。
二軒目は金沢中心部にあるこちらのお店へ。

「ターバンカレー本店」

巷では「金沢カレーの元祖はターバン」と言われることも多いこの店ですが、現在に至るまでの紆余曲折を知る方も多いことでしょう。

1950年代、鉄道弘済会が運営母体である「レストラン ニューカナザワ」で初代チーフコックとして勤務した田中吉和氏は、その後独立し「洋食タナカ」を開業。
1963年頃までには今日「金沢カレー」と呼ばれるスタイルのカレーを提供開始、人気を呼びます。
この頃田中氏から直接・間接的に共有されたレシピによって生まれたのが「インデアンカレー」(1964)「キッチンユキ」(1966)「カレーの市民アルバ」(1971 )
これらのお店が金沢カレーの源流と呼ばれる所以です。

一方「洋食タナカ」もカレー人気を受け1965年に「カレーライスのタナカ」と改称。
さらに1971年お店の常連だった岡田隆氏の誘いで「カレーのタナカ」を改称、田中・岡田両氏共同経営としたのが「ターバンカレー」の始まりです。

この時まさに「ターバン」は本家本流「金沢カレーの元祖」といえる存在でした。

ところが1973年、田中氏と岡田氏は共同経営を解消。

田中氏は本拠を野々市に移し「タナカのターバン」として再スタート。
その後20年ほどの間、2つの「ターバン」が共存することになります。

私が金沢に住んでいたのは1988年から1992年の4年間。
たまたま「ターバン」の本店にあたる片町店と、「タナカのターバン」本店にあたる工大前店によく行っていたのですが、当時はどっちがどっちとか、あまり気にせず食べていた気がします。
(工大前店には巨大なチャレンジカレーがあった、くらいの区分け)
実際には分裂前の「ターバン」では店舗運営・調理は田中氏が行っており、分裂時にレシピ継承はなかったため、現「ターバン」のカレーはそれ以前のものとは異なっていたのですが。

さらに1996年。
「ターバン」という名が商標登録され、「タナカのターバン」は「カレーのチャンピオン」と改名。
「ターバン」の名称はこちら「ターバンカレー」のみに。

ところがこちら「ターバンカレー」、経営が苦しく2005年に解散を議決。清算会社となります。

ここで「奇しくも」前年の2004年に東京新宿で「ゴーゴーカレー」が創業。
自ら「金沢カレーの火付け役」を名乗るとともに「元祖金沢カレーはターバンカレレー」と謳いはじめます。

そして現在「ターバンカレー」と「ゴーゴーカレー」とは姉妹店関係。
かつての、片町本店から少し移った場所に移転した現本店は、創業者岡田氏の娘さんと奥さんがお店に立っています。

旧片町店と比べると幾分狭めの店内ですが立地は抜群。
他の老舗カレー店(の本店)が軒並み郊外にある中、こちらは中心街。
兼六園、金沢城址、21世紀美術館とも徒歩圏内で、観光客を招きやすい場所です。

店内にも観光系のステッカーが複数貼られており、気軽に寄れる金沢カレーとしての立ち位置を確立しているようです。

オーダーはライスの量と具材・トッピングの組み合わせ。


★Lセットカレー(小)¥780

Lなのに小?
実はLセットとはウインナー、ハンバーグ、ロースカツのトリプル乗せ。
小というのはライスの量です。

さて、いただいてみましょう。

・・・実はここでちょっと混乱してしまいました。
四半世紀ぶりに「ターバン」のカレーをいただいたのですが、記憶の中の味とだいぶ違ったんですね。

実は2004年、新宿に「ゴーゴーカレー」が登場したとき、「ターバン」がルーツというけど味は全然違うなぁ、なんて感じたのですが、今回いただいた「ターバン」は、記憶の中の「ターバン」よりもかなり「ゴーゴーカレー」寄りの味。

一体これはどういうことなのでしょう。

まず、1973年に田中氏が離脱した際に正式なレシピ継承はなされていないため、それ以降の「ターバン」のカレーは以前とは別物になっている。
むしろ、それ以前に田中氏のレシピを受け継いだ「インデアンカレー」「キッチンユキ」「アルバ」のほうが、かつての「ターバン」の味を受け継いでいるともいえる(もちろん各店進化はしていますが)。

ここまでは分かります。

わからないのはその後。

私が前回「ターバン」のカレーを食べたのは1991年か1992年頃。
まだ片町店で、解散宣言の前のことです。
その頃の味と、今の味がまた別物になっているとしたら、やはり「ゴーゴーカレー」との連携による再建が何かしらの変化をもたらした可能性が高いのではないでしょうか。
そこにもちろん、店主の代変わりという要素もありますし。

とはいえ、ここは単なる推測の域。

多くのお客さんは「ゴーゴーカレー」を食べ、そしてそのルーツであり「金沢カレーの元祖」という「ターバンカレー」を食べ、「なるほど似ているよね」と納得するのでしょう。

ちなみに現在の「ターバンカレー」、他の老舗金沢カレー店と比較すれば旨みやコクが抑えられソース感が強い味で、「ゴーゴーカレー」と比べてもこちらのほうがサッパリしていると思える味わい。

比べれば「ゴーゴーカレー」が引き立つような。

まだまだ謎多き金沢カレーの現在。
もっともっと掘り下げていきましょう。


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ターバンカレー 本店



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