カレー細胞 -The Curry Cell-

あらゆるカレーを紹介し続けるプロジェクト。 時々、珍生物記事もアップするのでマニアは要チェック!

【全文掲載】 ジャパニーズカレーアワード2014ノミネート 「カレー細胞」セレクト

去る2014年12月18日に行われた「Japanese Curry Awards 2014」選考会にあたり、
私が提出したノミネートシートを公開します。

関連記事
『「Japanese Curry Awards 2014」始動!~カレーとは、何だ?~』
『「Japanese Curry Awards 2014」受賞店発表!!』


受賞したお店、受賞しなかったお店、どれも思いを込めて提案しましたので、ゆるりとご覧下さいませ。
全文掲載、全て提案時の通りです。

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ジャパニーズカレーアワード2014 「カレー細胞」セレクト

◎はじめに


まず前提として「カレーとは何だ?」という問いがあります。
それに対して私はこう考えています。

カレーとそうでない食べ物の間の明確な境界線などない。
ただカレーを食べて育った人が、それを食べたときにカレーの記憶が甦ればそれはカレー。
甦らなければ、いくらスパイスが入っていようがそれはカレーではない。
つまり、カレーとは、日本文化で育った人々の記憶の中にコアとしてあるイメージなのだ」

ちょっと難しい言い方になりますが、
つまり我々が「これ、カレーだよね」と無意識に感じるものがカレーという感じです。

今や、カレーは日本が世界に誇るカルチャーとなっています。
カレーはインドのもの、ではなく日本のものです。

今回から始まるこのアワードは、日本のカレー文化を再認識し国内外に強くアピールするとともに、
あらたなカレーの可能性を切り拓く道を模索する場となっていけばいいなぁ、そう思います。


◎2014年のジャパニーズカレーを振り返って


今回は第一回ですから、2014年というより少し広くレンジをとって「近年」という言い方へと変えさせていただくとすれば、関東と関西のカレー界でそれぞれ大きなムーブメントが起こっていると感じます。

まず関東では「スパイスバー&居酒屋」、つまりお酒とともにいただくカレーのお店の台頭。
ごはんでお腹いっぱいなイメージが付いてまわり、
女性客やチョイ飲み客から敬遠されがちだったカレー屋に、
新たな顧客獲得の可能性を切り拓きました。
ここ数年でこの種の店が一気に増えた背景には、客のニーズだけでなく、
店側のビジネスニーズへの有意義な回答だったのではないでしょうか。

そして関西ではなんといっても「スリランカ旋風」がカレー界を席巻しました。
しかし実はこれ、一過性のブームではないと私は捉えています。
元々関西には「自由軒」のインデアンや、「ニューライト」のセイロンライスなど、
カレーをぐちゃまぜでいただく素養があった。

じゃあ何故、関西に南インド料理が根付かなかったのか?
それは「南インド料理にはコクがない」からだと思います。

元々カレーライス文化が非常に盛んでかつ、豚肉よりも牛肉を重視する関西では、
コクのないカレーは全く受けません。
それに比べ、スリランカ料理は鰹出汁によるコクもあり、牛肉も用いることから、
関西カレーと非常に親和性が高かったのではないかと思うのです。
今後も、関西カレーとスリランカカレーは興味深い融合を遂げていくと思います。

今回ノミネート店を選考するにあたっては、この「イマドキ感」を強く意識してみました。


◎選出基準について

カレーアワードという観点ですから、

大好きなスパイス料理店であっても「むしろカレー屋ではないかな」と思うお店は意図的に
(泣く泣く)はずしました。
(「馬来西亜マレー」「タリカロ」「やるき」「ガネーシュ」・・・などなど。)

また、2014年に訪問していない店も対象から外しています。
(「バンブルビー」「KARA」・・・・などなど多少心残りな部分もありますが、また来年。)

選考基準は、まずジャパニーズカレーの歴史と伝統を守り抜く強い意志とパワーを持ったお店、
そしてジャパニーズカレーの新しい可能性を切り拓くパワーを持ったお店。
「こんなお店があることを知ってほしい」というクローズアップ効果を狙って、
少しマイナーなお店も入れてみました。


◎アワード本選ノミネート10軒

・・・それでは、まずアワードノミネートの10軒!!


★「カラピンチャ」(神戸・王子公園)
近年、関西を席巻するスリランカムーブメントのエースとして、日本カレー文化に貢献。
本場で修業したレシピを日本人感覚で繊細に仕上げた「カラピンチャ」のカレーはまさに至高の幸せ。

スリランカ×日本のミックスは単なるブームで終わるものでなく、
これからのジャパニーズカレーの大きな可能性を切り拓くものだと思っています。

鰹の旨味もカレーのコクを重視する関西カレー文化にぴったりフィット。
ナニワの粉もん文化はじめ、混ぜて食べる習慣に慣れ親しんだ関西人だからこそ、
混ぜるほど美味いスリランカカレーを自然に取り込むことができたのだと思います。
この大きな動きが今後、全国レベルでどう展開していくのか、とても楽しみです。


★「カッチャルバッチャル」(東京・新大塚)
飲めるカレー屋「スパイスバー&居酒屋」というムーブメントを作り出し、
カレー屋のあり方に大きなターニングポイントをもたらした点で、日本カレー文化に貢献。

「カマルプール」「ディルセ」「ニコ」「猫六」「オフビート」「ヒマラヤテーブル」・・・
次々に登場する「スパイスバー&居酒屋」は一過性のブームを越え、
ひとつのジャンルを築き上げようとしています。

このムーブメントは、外食カレーの可能性を一気に拡大させていくことでしょう。


★「カレーや うえの」(東京・鷺宮)
昔ながらのおうちカレーを究極的に追い求め、日本カレー文化を正しく次世代に受け継ぐ貴重な貢献。

カレーの多様性が増すことはもちろん嬉しいのですが、一つ気がかりなのは、
海外の人が絶賛する日本のカレー、その基準点である「おうちカレーライス」文化が空洞化してはいないか、ということ。
もし日本のカレーが大好きな外国人が来日した時、我々はいったいどこへ連れていけばよいのか?
その答えがこのお店にあります。
ニンジン、ジャガイモと具材を別々に仕込み、いつ行っても完璧なおうちカレーを提供するその職人技に脱帽。


★「エリックサウス」(東京・八重洲)
ホンモノの南インドカレーを巧く日本のカジュアルな生活導線へ溶け込ませた点で、
日本カレー文化に貢献。

インド料理マニアの間では永くブームとなっていた南インド料理。
でもそれは、マニアの間だけの話。「エリックサウス」とその仕掛け人の稲田さんはそれを、一般のサラリーマンやOL、主婦が受け入れられる形に持って行った。
これはすごいことだと思います。
続く「大岩食堂」「エリックカレー&ビリヤニ」と、日本印度化計画は続きます。


★「三代目ニューキャッスル」(東京・銀座一丁目)
2012年夏、銀座の超老舗「ニューキャッスル」が閉店。
理由は震災の影響による地盤沈下でした。

唯一無二、日本カレー史に残るカレー「辛来飯(からいらいす)」が消滅してほぼ1年。
一人の青年が三代目を襲名し、その味を奇跡的に復活させたのです。

カレーの不滅の力を体現したその情熱で、日本カレー文化に貢献!


★「犬拳堂」(東京・下北沢)
カレーの大事な効果として、ドヒャァァァー!辛いィィッ!!というアドレナリン分泌作用があります。
そのシンボルでもあった今はなき「大沢食堂」のスピリットを寸胴ごと継承しているのがこのお店。
だからといって、大沢食堂のカレーを出すのではなく、
何処にもない完全オリジナルなアジアンカレーをお酒とともに提供してくれます。

挑戦者のハートを燃やす、カレーの熱い魂を継承することで日本カレー文化に貢献。


★「GHEE」(東京・原宿)
ファッション&音楽、ポップカルチャーとしてのカレーを体現し、日本カレー文化に貢献。

クリエイターが出会う場であり、幾多の信奉者と派生店を生み、消息を絶ったり復活したりが常に話題になる・・・まさに伝説のバンドの様なカレー屋さんです。
実際、クリエイターという人種は常に刺激を求めるものですから、その中心にカレーがあるのはとても自然なこと。
カレーはいわば、とても健康的なドラッグなのです。


★「ニドミ」(大阪・谷町四丁目)
お酒が飲めるバーでありながら関西のスパイスカレーとスリランカのカレーを融合、
オーダーメイドの「カクテルカレー」という、カレーの新たな地平を切り拓き日本カレー文化に貢献。
人手不足で現在は一時提供を中止しているようですが、再開への願いをこめて一票!!


★「ガラムマサラ」(東京・経堂)
インド料理店といいつつ、インドだけでない様々な国のスパイス料理の「面白いところ」を抽出してアレンジする奇妙なお店。

一見邪道。しかし歴史を振り返ればカレーという食べ物自体、長い年月を経て、様々な国や文化の交流と融合の中で生まれてきたもの。
この「ガラムマサラ」の試みは、通常数百年かかる食文化交流を数か月単位に圧縮し、あらゆるカレーの可能性をシミュレーションしているのだと捉えることができます。

そのコスモポリタン視点による、大いなるトリックスター的役回りで日本カレー文化に貢献!


★「吉田カレー」(東京・荻窪)
どうも私はお店というか、店主の想いの強さに惹かれてしまうようです。
昔ながらのカレーではなく、欧風というわけでもインド風というわけでもなく、
しかししっかりと「カレーライス」であるという、新しいタイプのカレー屋さん。

しかもそれを、非常な良心価格で提供し、料理のクオリティ以外の部分は極力そぎ落とした営業を続ける執念。
ここばかりは、実際に行っていただかないと素晴らしさが伝えにくいお店ですが、2014年もっとも私が訪問したカレー屋さんでもあります。

カレーライスの新たな可能性を感じさせ、日本カレー文化に貢献!


◎新人賞ノミネート

★「スパイスツリー」(神奈川・逗子)
デリーで修業した店主が開いた、いい意味で意外なお店。
「カレー屋」と呼ぶべきか、「南インド料理店」と呼ぶべきか、でもネパール要素も入ってたり。
でもその「いいとこミックス感」こそが、日本の新しいカレー屋さんのカタチのような気がするんです。

南アジア料理のいいところを日本人流に取り入れ、日本カレー文化に貢献。
そしてなにより、めちゃくちゃ美味いのが一番のポイント。

次点は「猫六」、こっちもいいお店!


◎名誉賞ノミネート

★「デリー」(東京・湯島ほか)
激辛カレー「カシミール」は日本カレー界のポップアイコン。
南インドベースなのにカシミールというその名称もさることながら、
唯一無二、不動の味を築いた王者として日本カレー界に燦然と輝く大貢献。
周辺ではのれんを巡る様々なことが起きていますが・・・
だからこそ、王者ののれんに一票!


◎【番外】特別賞

★「富士そば」

2020年東京オリンピックに向けて、飲食業界の大きな課題である「ハラール対応」にいち早く挑戦。
ハラールなカレーそばで、文化交流を図ろうと研究開発に励んだものの、現在ではうまくいかなかった様子。
しかしその試作品を「パキスタン風激辛カレーそば」と銘打ち、池袋店と大塚店のみで販売を開始しました。
近い将来、カレー界が直面する問題に真っ向から取り組むその姿勢で日本カレー文化に貢献!

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以上が私の提案したノミネートシートになります。
文章がいちいち長いですね(笑)

この中で受賞したのは、「カラピンチャ」「うえの」「エリックサウス」「GHEE」「ガラムマサラ」「猫六」「デリー」の7店。

最後まで賞を争ったのが「吉田カレー」ですが、これ以上流行っても困るのでまぁそれはそれで良かったのかもと(笑)

ざっくり「美味しいカレー屋教えて!」なんて聞かれると、選択肢が多くて迷ってしまう私ですが、
こうして選考基準を明確にして、その中でお店を選ぶ作業は、とても楽しいですね。

これがまた「Indian Curry Award in Japan」とかになると「レカ」とか「サプナ」とか入ってくるんだろうな(笑)

・・・とかなんとか言っているうちに、2014年もあと24時間を残すのみ。

今年もカレーを食べまくりました。
日本だけじゃなく、マレーシア、タイ、中国、ミクロネシアなどでも。
来年も一層カレーを食べまくりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

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